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自分の答案を叩き台にして議論するスレ

1 :氏名黙秘:04/03/04 22:18 ID:???
結構、添削や「模範解答」に疑問があって、自分の考える模範答案(および答案構成)を叩き台にして
どこかで議論しようと考えました。実質的な論評・議論をお願いします。

前スレ
自分の作った論証を晒し、甘んじて批判を受けるスレ
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1069220419/

2 :氏名黙秘:04/03/04 22:19 ID:???


3 :30:04/03/04 22:36 ID:???
>設立趣意書
>絶対量的に勉強時間が足りてない気がすると、 添削・模範解答ほど有用な勉強資料はないはずなのに、
>論文の添削はまったく役立たずなものばかりで、しかもボロクソの「模範解答」がついてくる。
>そうすると「こっちは本番まで時間がないんじゃ、ボケ」と思って、メチャクチャ腹が立ってくるんですよね。

>ここにいるみなさんのなかに、添削や「模範解答」を評価してる方なんて全然いません。
>だから、それらに対する「怒り」がこのスレの存在理由であるというのは、
>その「怒り」は表現する必要もないくらいの大前提ということなんです。

>どうしようもない(と思える)採点者や救いようのない「模範解答」に対する不満は、
>このスレではもう少し具体的な論文・論点に関して語ることが有益だと思います。

4 :30:04/03/04 22:38 ID:???
309 :河童 :04/03/03 01:20 ID:???
*前置き
案外早く刑法の論文が書けました。去年の夏以来、刑法論文の第一号です。
民法同様アップはやめようと思っていましたが、民法同様、早々とみなさまのお世話になることにしました。
というのも、刑法は民法と違い、妥当な結論を導くために判例が理論的根拠を明らかにしないことが多い科目です。
私は問題文を読むたびに「コイツは重い罪で有罪にしてやる」とか「コイツは既遂だ」とか、決めてかかるため、
理論を優先しないで(理論が難しくて理解できないので…)、フィーリング重視で書くことにしています。
それだけに、あまりに基礎がおろそかになっているところは厳しくご指摘いただきたく、早めにアップしました。
しかし、刑法論文に登場する人物は、民法以上にキャラが濃くてやりやすいといえば、私にはやりやすいのかも……。

問題は論文の森1問目です。

問題
以下の小問における甲、乙、丙の刑法上の罪責について論ぜよ。
(1)甲は、部下Aの勤務態度があまりに悪かったので、これを懲らしめようとAの頭部に素手で暴行を加えた上、
水深の浅い小川に突き落としたところ、Aは強度の脳震盪を引き起こし、
よろけながらようやく反対側の岸に這い上がった。ところが、これら一部始終を物陰から密かに見ていた乙が、
前前から気に食わなかったAに意地悪をしてやろうと、Aを小川に突き倒した。
Aは強度の脳震盪から回復していなかったため、立ち上がることができずに溺死してしまった。
(2)医師でないにもかかわらず風邪等の治療行為を反復継続していた丙が、風邪の症状を訴える患者Bに
治療法を指示したところ、その治療法が間違っていることが明らかであるにもかかわらず、
Bは医師の診察治療を受けることなく忠実に指示に従ったため、脱水症状を起こした上、肺炎を併発して死亡した。


5 :30:04/03/04 22:48 ID:???
*後述
刑法に至っては、基本書はおろか判例百選すら持っていない私…。(さすがにこれは今週中に買いに行きます)
小問(2)は有名な判例がベースなので、百選も確認しないで書くのは恐縮ですが、お許しください。

*行為後に特殊事情が介在した場合の因果関係については、前田説が私の感覚に近いようですが、あえて回避しました。
刑法は一番学説にこだわるのが危ない科目だと思いますので。
去年は「手も足も出ない」という危険で一杯でしたが、今年は「自滅」の危険を管理できるようになりたいです。

314 :河童 :04/03/03 01:29 ID:???
**繰り返しになりますが、私はできる限り、学説・論理よりも妥当な結論を重視したいと思っています。
本問では、甲のヤロウは「勤務態度の悪さ」で「部下Aを小川に突き倒す」とんでもないヤツなので、
模範解答では傷害罪に留まるとされていますが、断固、傷害致死罪を成立させました。
模範解答では、「水深の浅い小川」ゆえ危険性が少ないと解して当て嵌めをしていますが、溺死の可能性を別にすれば、
常識的に逆ですよね。岸から川底までの深さにもよりますが…。それを利用して逆の結論を導きました。
最高裁もこの事件ならおそらく甲に傷害致死罪の成立を認めるでしょう。(…かな?)

6 :30:04/03/04 22:49 ID:???
憲法の議院定数不均衡問題や、刑訴の任意捜査の限界、違法収集証拠の証拠能力の有無などに顕著ですが、
判例が妥当・穏当な結論を導こうとかなり苦心している以上、この苦渋の結論を容易に肯定するのは疑問ですが、
これに追従するのは効果的な手段だと思うのです。
判例は学説より、妥当な結論を導こうと、刑法・刑訴においてかなり必罰主義的色彩が濃いですよね。
判例より必罰的な論文答案はバランス感覚として絶対にいけない気がしますが、判例に近い分にはセーフでしょう。
(**向こうのスレで、憲法・議員定数不均衡につき「6倍以上でも全然OK」という論述が出たときに、
そのことを書こうと思ったのですが、難しい学者さんの話だったので尻込みしてしまいました。
学者さんは長い時間と分厚いページをもって学術的なことを書けますが、論文答案はそうはいきませんから**)

長くなりました。基礎がおろそかでは、妥当な(と思った)結論も虚しいだけです。よろしくご指摘・指導ください。

317 :氏名黙秘 :04/03/03 02:28 ID:???
>>314
妥当な結論というのは一般予防の見地から妥当な結論だろうね?
悪いやつだから刑務所に入れちゃえなんて発想じゃないよね?

320 :224 :04/03/03 10:48 ID:???
河童さん、私も基本書といえばやっとセミナーのフェアで
民法買ったばかりです。民法は私の課題ですから。
ちなみに去年の択一もこれに引きずられて落ちてます。
大学では専攻だったのになんででしょ(T_T)

しかし憲法も刑法も基本書持ってません。
デバイスと120選と判例で十分だと思ってるのですが、どうでしょうか?
ただし判例は百選ではなく前田250選です。

商訴にいたっては、デバイスと「判例で書く」シリーズだけです。
今買っても読むヒマないし、何がいいのかわからないし・・・・


7 :30:04/03/04 22:50 ID:???
321 :224 :04/03/03 10:52 ID:???
それと論文の森小問2ですが
医師免許のない治療行為は
傷害の故意があるし、業務上ではないはずですが。
後は死亡との因果関係を論ずるのかなと・・・・
小問1は事実認定をどうするかだけですね。

322 :河童 :04/03/03 11:02 ID:???
>>317
私は100%弁護士志望なのですが、刑法は裁判官の気持ちで書いています。
実際、親族を含めた被害者感情や遺族感情が重視される今日ですから、
事実上はそういう発想に近くても許されるのではないでしょうか。
(だから、私のような男は裁判官になっちゃダメなんですね)

最近よく30さんにおこしいただき、224さんも登場されましたが、
久しぶりに131さんにビシッと基礎の弱さを指摘してほしい気が…。

323 :河童 :04/03/03 11:20 ID:???
あっ、224さん、おはようございます。

まず、私の論文について。
傷害の故意の認定は、本人が治療行為だと思って行っている限り、なかなか難しいでしょう。
「治療法の単なる指示」を傷害の実行行為として認定しなければならなくなりますし。



8 :30:04/03/04 22:53 ID:???
329 :224 :04/03/03 11:59 ID:???
>傷害の故意の認定は、本人が治療行為だと思って行っている限り、なかなか難しいでしょう。
>「治療法の単なる指示」を傷害の実行行為として認定しなければならなくなりますし。

私は「脱水症状を起こした」点から、その治療法は
医師でもないのに、ヘンな薬物を飲ませたと問題文を読みました。
とすれば、十分に傷害の故意を認定できると思いますよ。
あと業務については
自動車運転については無免許でもそれ自体が業務と認められますが
薬物投与は免許がない以上、業務とはいえないし、
それがないと危険な行為であることは客観的に明らかですから
やはり傷害の故意が認められます。
但し、河童さんご指摘の通り
問題文の治療法が何なのかがわからないというのが悪問ですね。
これがヘンな体操をさせただけというのであれば、
それが過失(そもそもムリがあるが)だとしても
脱水症状を起こすことに因果関係は認められず
無罪としかいいようがありません。

この場合、民法のように
「善意無過失ならば〜」というように場合分けしろって
ことですかね。しかし、刑法の事例問題はあてはめ勝負の
ところがありますからねえ・・・・・

ちなみに私は新保先生はビデオでしか見れないんですよ。
でも別の先生もなかなかいいですよ。
先生はいいんだけど添削者がねえ・・・・・

9 :30:04/03/04 22:55 ID:???
あと勉強方法について。
224さんみたいにあまり時間がとれない方には、有効かどうかわかりませんが。
私は(ここまでくるとバカ自慢のようですが)上三法は基本書どころかデバイス・シケタイ等、
予備校の参考書も持っていません。(下三法はC−book…)。
ひたすら択一の問題を解いて解いて解きまくって基礎を理解し、
判例を読んで(刑法除く)、論文の問題を解くことにより理解を深めてきました。
(そんな私でも刑法・民法論文は大丈夫でしたから、あまり過度にご心配なさらずに)

論文の場合、自分で一番有効だと思うのは、新保先生の問題集ならそれを徹底的に批判的に検討することです。
私は全科目、一日で新保問題集を半分くらいをザッと読みながら、たまに判例を確認しつつ、
自分で納得できないところを鉛筆を使って問題集にそのまま汚い字で書き込んでいます。
そのなかで自分で一度書いておきたくなったものを問題集をベースに答案化しています。

224さんでしたら、直接新保先生に質問できる機会もあるでしょうし、大変有効な手段かと。

330 :氏名黙秘 :04/03/03 11:59 ID:???
>>322
被害者や遺族の感情は犯罪の成否には関係ない。これは当たり前のこと。
それさえもわかってないのは基本がわかってないということだよ。刑罰は
復讐の代行じゃない。

361 :河童 :04/03/03 18:28 ID:???
うーん。参った。やや荒れですね。
ここは過去を見ていただければわかりますが、もう誰もいなくなったスレだったんですよ。

それでもいまになって論証が晒したい人は晒せばいいと思いますが。
優秀な方が沢山いますので、大変有益だと思いますよ。

しばらくおやすみしますか…。


10 :30:04/03/04 22:56 ID:???
364 :131 :04/03/04 06:41 ID:???
おおー・・荒れている。。びっくり
>>河童さん>309-313とりあえず気になる部分を挙げておきます。

>(1)強度の脳震盪を引き起こしているので傷害罪(204条)の罪責を負う。
生理的機能障害を惹起し、くらいの定義を入れてもいいと思います。
余裕があれば暴行の結果的加重犯の認定をしてもいいかもしれません。

>(エ)以降の当てはめ
一般にこういうあてはめがされるみたいですが、個人的には規範に対応していない感じがします。
基礎事情の確定をした上で、相当性の評価にはいるべきでしょう。
> 物陰に隠れていた乙の本問行為は行為当時の甲及び一般人にとって
 予測不可能な事情であることを重視すれば、因果関係を否定することになろう。
予測不可能、でいったん切ってしまうといいと思います。
ここが分離していないため、
> そのまま水を飲んで溺死することも十分にあり得ただろう。
という部分は仮定因果付加みたいな印象を受けました。
それと、行為後の特殊事情の規範を別立てしておいたほうが分かりやすいと思います。
(「認識」の部分を「予見」ないし「表象」にするだけですが)

あと、私が書くなら乙には殺人、丙には傷害と認定するかも知れません。
ちょっと恣意的すぎるとは思いますが‥。


11 :30:04/03/04 22:58 ID:???
366 :河童 :04/03/04 10:55 ID:???
131さん、ありがとうございます。
ご指摘いただいた点をみてみると、刑法も基礎で131さんに遠く及ばない模様。
刑法勉強期間はとりあえず4月まで。よく精進します。

しかし、224さんも丙に傷害を真っ先に考えていますが、
やはり判例をベースにした問題で、もちろん具体的事情が曖昧ではありますが、
判例以上に厳しい結論というのはどうなんでしょうか。故意と実行行為の認定の問題もあります。
(一回だけ)「治療法を指示した」という様態を考えると、何度もイタズラ電話をかけてノイローゼにした、
という事案とは、実行行為の態様(電話は音が鳴るうえ、反復性がある)に大きな質的差異があって、
むしろ、故意の認定はやはり困難でしょうが、「自己傷害教唆」というほうが近いような…。
もっとも、そんな無理な解釈・認定は実際的ではありませんが。

131さん、ありがとうございました。しばらくおやすみします。

367 :河童 :04/03/04 11:15 ID:???
*おやすみを前に、はじめて「書き直し」をアップしてみました。すごくよくなりました。
131さんをわざわざお呼びたてさせていただいた甲斐がありました。多謝。いつもほんとうに助かっています。

(エ)これを本小問についてみると、物陰に隠れていた乙の本問行為は行為当時の甲及び一般人にとって
予測不可能な事情である。しかしながら、甲は「水深の浅い小川」にAを突き倒しており、
川底や岩に頭を強打する等、Aの生命に危険な行為をなしており、実際にAはかなりの期間「回復」しないほど
強度の脳震盪を起こしている。また、Aはようやく反対側の岸に這い上がっているが、
甲はその事実(Aの生命の安全)を確認せず、川に落ちたAを放置している。
 そうであるとすれば、一般人であれば、Aを川に突き落とせば強度の脳震盪を起こして、
そのまま放置すれば、水を飲んで溺死することも十分に予測し得ただろう。
 よって、甲の行為からAの死亡という結果が生じることは、予測不能な乙の行為を考慮せずとも、
社会通念上相当といえ、両者の間に因果関係を認めるべきである。

12 :30:04/03/04 22:59 ID:???
368 :131 :04/03/04 20:04 ID:???
>>366
>むしろ、故意の認定はやはり困難でしょうが、「自己傷害教唆」というほうが近いような…。
>もっとも、そんな無理な解釈・認定は実際的ではありませんが。
そういうニュアンスの方が近いと思います。

はっきりいって、出題意図は前段後段で因果関係を比較させることにあるので
傷害認定はそれだけでG食らうかもしれません。
にもかかわらず傷害といってみたのは、本試験でそういう無理な認定をしないようにするための
防波堤みたいなものを作っておいた方がいいと思うからです。
本問はともかく、横領と背任の区別とか幇助と正犯の区別とか、
他の人がしないような無理な認定をしたのなら、なぜしたのかを明確にする意義はあると思います。
本問での傷害は、論点出しの意味と、こいつが過失犯か?という疑問に端を発しています。

ちなみに、傷害認定とすると流れは
@故意ありA実行行為性あり(被害者利用)B死亡結果との因果ありC治療行為の違法性阻却なしD法律の錯誤
みたいになりましょうか。盛りだくさんではあります。
が、小問間の比較からして、やはりベターではないですよね。
自分で気づけばいいのですが、得てして私は強引に論じてしまうので、、反省しきりなしだいです。

13 :30:04/03/04 23:08 ID:???
>>1 スレ立て乙。 以後、設立趣意書の方向で議論をしましょう。


14 :河童:04/03/05 00:24 ID:???
30さん、猛烈感謝。あと1の方は、30さんとは別人の模様。1の方にも感謝。
大変ご丁寧なスレ立てありがとうございました。
素晴らしい新居(共同住宅?)を建築していただいた気分です。

せっかくの新居ですので、答案アップなさる方はどうぞなさってください。
ここにはとても有益な添削者が多数いらっしゃいます。
なお、現在はとりあえず刑法ですが、択一迫る時期だけに上三法ならOKという雰囲気だと思います。

15 :30:04/03/05 00:53 ID:???
>結論を導く理論の当否
この問題、もし河童さんのように因果関係を肯定するのであれば、
 a 大阪南港事件の論理を採用する(ただし、かなり難しい)
 b 条件説に依拠する(とはいえ、実は、条件説の論者も、たぶん認めない。傷害致死の事案で、
この事例の処理は特殊。条件説の処理は受験上全く必要なし。「正門から追い返し裏から引き入
れる」)
くらいでしょうか?
いずれにせよ、故意行為の介在の場面なので、かつては因果関係の中断論(これ、口述で聞かれ
てますよね。過失行為は含みません。)が論じられた場面ですし。難しいですね。

>答案について
ちょっと、判断基底となる基礎事情をきちんと洗い出したら、その結論になりますかねえ?

こんなこと感じました。ではまた。


16 :30:04/03/05 01:04 ID:???
忘れてました。
それと、死の結果についての処理も問題になると思います。
河童さんの結論だと、1人しか死んでないのに、死の結果を2人に帰属させているように思えます。
二重評価の問題です。どうしますか?131さんは、これを考えていると思います。

なお、昨年の問題でもここはかなり問題になってましたので(泣)、これ以上は。。。勘弁して。



17 :河童:04/03/05 01:28 ID:???
30さん、ご指摘どうもありがとうございます。
いまは眠くてよく考えられないため、またじっくり考えてみます。

私はA(でしたっけ)に傷害致死罪が成立させたいために色々考えたのですが、
至極シンプルな構成でこじつけでも妥当な(だと思った)結論というスタンスで、
書いてみたつもりです。しかし、どうも論理的におかしいようですね。
論文の森の解説では、前田説ならば傷害致死の結果を導くことも可能としてあったので、
この結論に無理はないと思ったのですが。

ふたりの人間がひとりの人間に致死量の半分ずつの毒を飲ませて殺した場合、
ふたりに死の結果を帰属させるのは確かOKでしたよね。

…夜中にこれ以上おかしなことを書くとまた恥の上塗りになるので明日また考えてみます。

>なお、昨年の問題でもここはかなり問題になってましたので
…確か、昨年は共犯でしたよね。それで私は迷いなく、2人ともに殺人罪を肯定した覚えが。
もっとも、理論もなにもなくて、子供の作文のようなものを書いてしまいましたが…。

18 :131:04/03/05 02:20 ID:???
>>1氏 丁寧なスレ立て禿乙です。なんて作業が早い…。
>>30氏 誘導等禿乙です。なんて親切な…。
あっちのスレの行く末が気にならなくもありませんが、
スレタイの面目躍如といくといいですね。

>>16
>二重評価の問題です。どうしますか?
…悩みどころですよね。私も単純に
>ふたりの人間がひとりの人間に致死量の半分ずつの毒を飲ませて殺した場合、
>ふたりに死の結果を帰属させるのは確かOKでしたよね。
というくらいの帰属論をかませていいわけすればいいかなと思ってました。

また、そもそも結論の当否については相当性の判断基底資料は類型化されてはいても、
相当性自体は社会通念というブラックボックスによる以上、どっちでもアリかと思います。
いずれにしても強引ですね。まさに初学者丸出しかも…。

19 :30:04/03/05 09:55 ID:???
大阪南港事件の論理を採用するのであれば、「死因となった傷害が形成された場合」といえるか
どうかがポイントになると思います。(大谷先生もこの論理を支持していらっしゃったかと記憶
しています。)
で、本問ではどうか。「Aの頭部に素手で暴行を加えた上、水深の浅い小川に突き落とした」と
いうのですから、「死因となった傷害が形成された場合」とは言い難いのではないか?
大阪南港事件ですと、洗面器等による殴打行為により、被害者の死因となるのに十分な脳内出血
が生じているので、かかる認定になったように思います。
なお、前田先生は、介在事情の異常性は小さく、結果への寄与度は小さいとして、大阪南港事件
の判例を支持されていますが、ここは非常に異論の強いところです。かなり強引ではないか、と。

まあ、こんなことを考えていました。参考になるかもしれません。

20 :河童:04/03/05 10:24 ID:???
30さん、131さん。おはようございます。

一晩寝てから考えましたが、やはり傷害致死は無理のある結論だと思うようになりました。
30さんがご指摘のように、突き落とす行為が直接の死因とはなりえないからです。

例えば、アホみたいな事例で考えてみました。
車ではねた相手が崖下に転落して、普通は死んでもおかしくないが、幸運にも足の骨折ですんだ。
@しかし、そこで熊に襲われて、足の骨折のために逃げ切れずに死んだ。
Aしかし、そこは川になっていて、足を骨折していたために泳げずに溺死した。

Aの場合、過失(傷害)致死が成立しても、@の場合、それはさすがに難しいというのが本音です。
本問は、@類似の上、熊でなく人の故意の行為が介入している以上、更に死の結果の帰責は無理ですね。

どうも、私の感覚でいうと、井田説というのが一番近いようですが、本試験で論述する気にはなれません。
井田説だと大阪南港事件は判例を支持し得るでしょうが、本問では傷害止まりで間違いないでしょう。

本問では一晩で自分の妥当だと思う結論が変わりました。
当面は井田説をベースにして、妥当な結論を考えていこうかなと思います。
私の刑法論文はシンプルな説でこじつけですので、妥当だと思う結論を決定する方針こそ命です。

自分の結論が妥当でなかったことを知れたことが今回の最大の収穫でした。
みなさまありがとうございました。

21 :河童:04/03/05 10:46 ID:???
…結局は、条件説でないと因果関係を肯定できないから、過失犯にも問えないということでしょうか。
以下のようにも考えてみました。

まず最初に不作為犯的構成を考えてみましたが、作為義務は肯定できても、
甲がAの安全を確認しないで立ち去った行為が、作為と同価値とは評価しがたい。
そこで、小川にAを突き落として強度の脳震盪を引き起こしながら、そのまま安全も確認せずに立ち去る、
という不作為を非難すべきことに目をつければ、重過失致死は認定できるかもしれない。
すなわち、強度の脳震盪を引き起こしたAが脳震盪から回復するまで不慮の事故にあわないようにするという、
注意義務に違反して甲はAの死を招いたといえないか。

これなら予見可能性は肯定できると思いますが、やはり因果関係の存否は故意犯と同じことになるのでしょうか。
「不慮の事故」にあわないようにする注意義務違反&故意犯より緩やかな相当因果関係の認定……。
過失犯の因果関係の問題はまだ勉強不足。少し考えてみます。

刑法は頭が大混乱です。択一の問題を解きながら3月中に基礎を鍛え直していかないと。

22 :氏名黙秘:04/03/05 11:43 ID:???
おまえ、司法試験やめたほうがいい。

23 :30:04/03/05 11:43 ID:???
この問題での、わたくしの処理は、いわゆる1段構えの構成、つまり相当因果関係説から、いきなり
あてはめるというものです(シケタイ参照のこと)。そして、あてはめのファクターとして前田先生
の3要件の要素を使います。そして、判例の内容も適宜、盛り込んでいます。答案を探せば、かなり
このタイプのものがあります。
井田先生の説は、山口問題探究に書かれている程度しか判っていないので、ちょっと言及できません。

過失犯のところは、ちょっと考え過ぎかも。ふつうに認めていいと思いますけど。ただ、考え出した
ら難しい論点を含むので、ちょっと困りました。この問題では深入りしません。ではでは。

24 :裕子:04/03/05 12:18 ID:???
学者系演習書からきました。ここもなかなか良スレですね。

議論を蒸し返して申し訳ないんですが、
>>11のあてはめ、私はすばらしいと思うんですけどね・・・
ただ、少し気になるのが、
「川底や岩に頭を強打する等、Aの生命に危険な行為をなしており、」
ここを強調するのはまずいのかな。「死」には関係ないので。むしろ、
甲の行為によって、強度の脳震盪が惹起され、
それが直接の「死」の引き金になっていることを強調すべきだと思います。
そうすれば、相当因果関係説からも肯定も可能だと思うのですが・・・

大阪南港との整合性は難しいですが、
「死因となった傷害が形成された場合」とはいえないまでも、
「死因となった溺死の直接の原因となった脳震盪が形成された場合」とはいえますから、
そんなに乖離しているとまではいえないのではないかな…

まあ、結論ははどちらでもいいんではないですかね。判例も類似の事例で肯定してますし。
問題は議論の筋道ですね。相当因果関係説に立つ場合は、
基礎事情の判断と相当性の判断をきっちり分けること(この点>>11はもう一歩ですかね)、
生じた結果の抽象化をどう考えるのか(極端に具体的に考えると常に否定されかねない)、
という点がポイントのように思います。
ともするとフィーリングで結論が導かれたようにみえるところなので、
そこをどう緻密に評価しているようにみせるかが問われているのではないでしょうか。

>>20
> @しかし、そこで熊に襲われて、足の骨折のために逃げ切れずに死んだ。
> Aしかし、そこは川になっていて、足を骨折していたために泳げずに溺死した。
> Aの場合、過失(傷害)致死が成立しても、@の場合、それはさすがに難しいというのが本音です。
> 本問は、@類似の上、熊でなく人の故意の行為が介入している以上、更に死の結果の帰責は無理ですね。
「熊」か「人」かどちらにしても、基礎事情から除くことを前提にしている以上、
「熊」か「人」かは因果関係の成否に問題とはならないと思います。
本問は、実行行為者の危険な行為が直接の死因になっているか否かの点で@とは大きく異なるのではないでしょうか。

25 :裕子:04/03/05 12:37 ID:???
>>21
傷害致死の因果関係を否定しておきながら、
過失犯を認めるのは、
傷害行為と放置行為が別個の行為と見られる特段の事情がない限り、
評価矛盾のように思えますが・・・

26 :30:04/03/05 13:07 ID:???
>>24
端的に問題点を指摘されていると思います。

>大阪南港との整合性は難しいですが、
>「死因となった傷害が形成された場合」とはいえないまでも、
>「死因となった溺死の直接の原因となった脳震盪が形成された場合」とはいえますから、
>そんなに乖離しているとまではいえないのではないかな…
う〜ん。行為の危険性についての評価が違っているんですね。たぶん。

>判例も類似の事例で肯定してますし。
そうだったんですか。知りませんでした。反省。

で、裕子さんは、因果関係を肯定したとして、乙の行為と結果との因果関係はどうしますか。
最終処理に関係しますよね。

>>25
ちゃんと考えるべきでした。>>23の後段は撤回。迂闊に認めては、まずいですね。
因果関係を否定した場合、甲の行為は傷害、乙の行為は過失致死、ということになると
思います。

27 :裕子:04/03/05 13:52 ID:???
>>26
> う〜ん。行為の危険性についての評価が違っているんですね。
そういうことでしょう。
浅い川なので、突き落としても死ぬこたーない、と評価するのか。
浅い川でも、打ち所が悪いと溺死する危険もある、と評価するのかだと思います。
本問題文からはどっちにも転びうるのではないでしょうか。

> >判例も類似の事例で肯定してますし。
大判昭和5・10・25です。

> で、裕子さんは、因果関係を肯定したとして、乙の行為と結果との因果関係はどうしますか。
> 最終処理に関係しますよね。
乙の行為と結果との因果関係は認めるのに支障はないので、
問題は最終処理ですか。二重の評価ってやつですね。
まあ、批判はあるところでしょうけど、さらっと流してもかまわないと思います。
>>17-18のご指摘で問題ないと思うのですが。

> 因果関係を否定した場合、甲の行為は傷害、乙の行為は過失致死、
過失致死→傷害致死ですかね。

28 :30:04/03/05 14:57 ID:???
>>27
以下の部分以外は同意。乙は傷害致死でしたね。

>>判例も類似の事例で肯定してますし。
>大判昭和5・10・25です。
これ、そうですかぁ?第1暴行で頭蓋骨骨折等の傷害を負わせている事案ですよねえ?
行為の危険性が、かなり違うような気がしますよ。
とはいえ、この判例の事案は、行為の危険性の面では、大阪南港事件に近く、因果関係
を肯定したのも納得できますけど。
また、第2の行為も被害者の面部を下にして浅い川に投げ込んでいますよね。溺死の結
果に向けられた行為として、単に突き落としたのとは違うような。
まあ、このあたりは人によって評価が異なりうるところなのでしょうか?


29 :河童:04/03/05 16:09 ID:???
30さん、裕子さん、こんにちは。
裕子さんはお久しぶりです。拙い答案に様々なご指摘ありがとうございます。

まず過失犯うんぬんについて。
>傷害致死の因果関係を否定しておきながら、
>過失犯を認めるのは、
>傷害行為と放置行為が別個の行為と見られる特段の事情がない限り、
>評価矛盾のように思えますが・・・

裕子さんのいうところの特段の事情が認められると思いました。
(1)甲の小川に突き倒す行為と、(2)強度の脳震盪を引き起こしたAを川に放置して立ち去る行為は、
やはり刑法的に別個の行為として非難の対象としていいような気がしまして。

ただ、択一迫る時期が時期ですので、この問題はいろいろ考える切っ掛けとして、
みなさまが自分なりの納得を得ればよいと思います。(私の納得は一通り刑法の復習を終える今月末の予定…)

30 :河童:04/03/05 16:29 ID:???
しつこいようですが、刑法は学説が百花繚乱ながら、判例は緻密な理論よりも、
ギリギリのところを「守って」妥当な結論を導こうとしているような印象を抱きます。

昨年は我ながらひどい論文でしたが一定の評価はもらったので、私は自分のスタンスでいきます。
すなわち、試験論文レベルで考えたとき(現在の私にはそれが全てです)、前記の例でいえば、
@熊に襲われて死亡の場合は、行為者に「帰責し得ない」ではなく、「帰責しない」。
A川で溺れて溺死なら行為者に「帰責し得る」ではなく、「帰責する」。
というふうに、論理でなく、自分の意思で決められた結論をもとに論述していくつもりです。
(批判がある方は大勢いらっしゃるでしょうね…あくまで試験目的なので反論しませんが)

これは一種、刑法の理解を深める放棄宣言のようですが、
勉強を進め、判例・学説を学んでいくうちに、妥当と思う結論自体が変わっていくでしょうし、
また避けるべき微妙な論述や表現がわかるようになって、論述にも矛盾がなくなってくるでしょう。
そういうことで一生懸命頑張ります。

>学者系演習書からきました。
裕子さんのご挨拶で、自分は「学者系」からは遠いところにいる人間だなぁと改めて思いました。
なにせ勉強が大嫌いで、ついこないだ生まれて初めて勉強する気になった人間ですから…。

31 :131:04/03/05 17:40 ID:???
裕子さん、初めまして。学者スレで拝見しております。
>>24
>生じた結果の抽象化をどう考えるのか(極端に具体的に考えると常に否定されかねない)、
>という点がポイントのように思います。

こういうことなんでしょうか。
@死の結果を具体的にとらえる
(エ)物陰に隠れていた乙の本問行為は一般人にとって予見できず、甲も予見していない。
   そこで、かかる事情は判断基底とならない。
   その上で甲の行為から本問具体的な死の結果が生じる相当性があるかを検討するに、
  甲の行為から「乙に突き倒され脳震盪の危険性が増大したことで惹起されたAの死亡」
  という結果が生じることは、社会通念上相当といえない。よって因果関係は否定される。
A死の結果を抽象的にとらえる
(エ)物陰に隠れていた乙の本問行為は一般人にとって予見できず、甲も予見していない。
   そこで、かかる事情は判断基底とならない。
   その上で甲の行為から本問具体的な死の結果が生じる相当性があるかを検討するに、
  甲の行為により脳震盪に陥ったAがそのまま小川に倒れ伏すことは、脳震盪が人の
  肉体的機能を正常なからしめる作用を有することを考えれば社会通念上あり得る。
   とすれば、甲が脳震盪に至らしめたAが小川に倒れた状態で小川に流れる水を吸引し、
  およそ「溺死」するという結果が生じることは、いかに当該小川の水深が浅かろうとも、
  そこに水が流れている限りにおいて、社会通念上相当といえる。
   よって因果関係は肯定される。
死因の同一性を論じているようにも見えますが…。

32 :氏名黙秘:04/03/05 18:51 ID:???
理論からアプローチすると、
本番ではとんでもない点数がつきますよね。
対立利益を考慮しながら妥当な落としどころを見極め、
結論を確定し、
あとから説得的な論理・論証を考えるのが、
実務家のアプローチですもんね。
私はこれを理解するのに4年もかかりました。
河童さんは賢い。

33 :河童:04/03/05 19:47 ID:???
>32さん、私のは初学者の苦しまぎれに近いです。
ただ、例の新潟監禁事件で最高裁は下着万引きを4年分で評価して14年の判決…。
極めて形式的に法文の解釈を貫くことによって極めて実質的な内容の判決を下しています。
さすがに「えっ、いいの?」と思いましたが、あの「ラフプレー」は私には印象的でした。

>31
さて、131さんの
>A死の結果を抽象的にとらえる、
という部分の論述は疑問があります。

「死の結果を抽象的にとらえる」というのは、Aの死因が「溺死」ではなくて、
冬の水が冷たい小川に落ちたことによる「心臓発作」でもOKということをいうのでは。

「死因」ということを重視し過ぎては、乙が脳震盪を引き起こしているAを取っ捕まえて、
用意していた水を張ったタライにAの顔を浸け続けることによって溺死させても、
「死因」は「溺死」だということで同一性があることになってしまいませんか。

34 :河童:04/03/05 20:10 ID:???
ちなみに、論森の井田説の解説は、問題になる事案を

@行為の高度の危険そのものが具体的結果として直接実現したと見得る場合と、
A行為は高度に危険であっても具体的な結果発生の一条件を与えたにすぎない場合とに区別し、
前者については「死因の同一性」の範囲内で結果を抽象化して、
後者については介在事情と結果発生の具体的態様について予見可能性を基準に、相当性を判断する。

となっています。
つまり、今回の問題では、Aのケースにあたり、具体的様態について予見可能性はありませんので、
Aの死の結果については甲に帰責できないでしょう。

しかし、仮にAが小川に突き落とされた後に、強度の脳震盪により自力で立ち上がれず、
数分うつ伏せに倒れていたところ、乙が更に殴るなど「ダメ押し」をした場合には、@のケースにあたり、
甲にAの「溺死」について帰責できることになるでしょう。

当面はこの説をあてはめて、妥当な結論としようかなと。
*この説でも「死因の同一性の範囲内で抽象化」ということで、
やはり「抽象化」するのは「死の結果」でなく、「死因」となっていますね…。

35 :131:04/03/05 23:52 ID:???
>>33
>「死の結果を抽象的にとらえる」というのは、Aの死因が「溺死」ではなくて、
>冬の水が冷たい小川に落ちたことによる「心臓発作」でもOKということをいうのでは。
>「死因」ということを重視し過ぎては、乙が脳震盪を引き起こしているAを取っ捕まえて、
>用意していた水を張ったタライにAの顔を浸け続けることによって溺死させても、
>「死因」は「溺死」だということで同一性があることになってしまいませんか。

河童さんのおっしゃる通りだと思います。
極端に抽象化すれば、小川にまつわる死のみならず寿命死も因果の範囲内となってしまいそうです。
もちろん、刑法的な因果関係としてこれではアバウトすぎます。
そこで、「溺死」という部分で死因の同一性を限定することが井田@の判断でしょうか。
そうすると、相当性評価の際にそういった論述をする必要がありますね。
わたしの論証だとアバウトなままなので、確かにおかしい具合になっています。指摘ありがとうございます。
井田Aの相当性判断の中に@の抽象化を取り込んでもいいような気もしますが、どうなんでしょう。
理論はよく分からないもので…。

36 :裕子:04/03/06 00:38 ID:???
>>31
具体化・抽象化といってもいろいろバリエーションがあると思うのですが、
その一つの例として、>>31のあてはめは良くできていると思います。
でも、本問では溺死の危険という点では、行為と結果がずれないので、
「結果の抽象化」というのは説明しにくい事例ですね。
米兵ひき逃げ事件とかで考えるとよりはっきりしますかね。

>>33
> 「死の結果を抽象的にとらえる」というのは、Aの死因が「溺死」ではなくて、
> 冬の水が冷たい小川に落ちたことによる「心臓発作」でもOKということをいうのでは。
こういう立場の学説もありますし、一方で死因の同一性を重視する考え方もあると思います。
死因の同一性までの抽象化に留めようという考え方ですね。
判例はこの考え方に近いというのが私の理解です。

> 「死因」ということを重視し過ぎては、乙が脳震盪を引き起こしているAを取っ捕まえて、
> 用意していた水を張ったタライにAの顔を浸け続けることによって溺死させても、
> 「死因」は「溺死」だということで同一性があることになってしまいませんか。
するどいご指摘だと思います。
「死因」といっても医学的な分類ではなく、法的規範的意味からの「死因」であり、
別物であるから相当性否定、という感じですかね。

37 :裕子:04/03/06 00:45 ID:???
>>28
> これ、そうですかぁ?第1暴行で頭蓋骨骨折等の傷害を負わせている事案ですよねえ?
> 行為の危険性が、かなり違うような気がしますよ。
暴行自体の激しさは違いますが、
溺死への結びつきの強さとしてはそれほど変わりないと評価できないでしょうか。
「強度の」脳震盪ですから。
そのまま溺死してもおかしくなかった点ではあまりかわりないようにも思えます。

38 :河童:04/03/06 01:16 ID:???
131さん、裕子さんどうもありがとうございます。
だいたい感覚的に掴めてきました。(私は結論的には30さんの感覚に近いようです)
(ちなみに記述するか迷いましたが、米兵ひき逃げ事件については自衛隊ひき逃げ事件だったら、
さらには暴力団ひき逃げ事件だったらどうなっていたか…と私などは思ってしまいます。)

*前置き
どうも私は「ウダウダ」が長くてスレがだれてしまわないか心配になります。
なにぶん131さん・30さん・裕子さんのように法律論が語れないものですから……。
そこで、新作をアップすることにしました。
ほぼスタンダード100そのままの過失犯の問題です。(まだ勉強が違法性まででして)
例の非加熱製剤の監督過失の問題を検討したいのですが、判例集をまだ買っておらず、やむなく……。

問題
甲が長年にわたって代表取締役を努め、かつ経営及び管理上の実質的な権限を掌握していた大型ホテルFにおいて、
深夜、宿泊客のタバコの不始末が原因で、客室から出火した。
しかし、甲はこのホテルにスプリンクラー等の防火設備を施さず、
また、従業員に対する平素の消防訓練もまったく行っていなかったため、延焼が短時間で拡大し、
従業員による消化活動及び宿泊客等に対する適切な通報・避難誘導が行われなかった結果、
逃げ遅れた宿泊客が死亡した。甲の罪責を論ぜよ。

39 :河童:04/03/06 01:17 ID:???
1 本問では、長年にわたってホテルFの管理上の権限を掌握していた代表取締役である甲の不注意・怠慢から、
火災による宿泊客の死亡という結果が生じたと思われるため、
甲に業務上過失致死罪(211条前段)が成立するか問題となる。
2 まず、同条にいう「業務」とは、人が社会生活上の地位に基づき反復継続して行う事務で、
かつ他人の生命・身体に危害を加えるおそれのあるものをいう。この点について、ホテルの管理如何によっては、
宿泊客の生命・身体の安全に危害を加えるおそれもあるため、甲のホテル管理事務は「業務」にあたる。
3 では、甲は「注意を怠」ったといえるか。
 本問では、甲に、監督過失の一態様であると解される管理過失責任が認められるかが問題となる。
管理過失とは、管理者等の物的・人的設備、機構、人的体制等の管理の不備自体が過失を構成することをいうが、
以下、順を追って検討していく。
4 まず、甲に過失犯が成立するためには、管理過失も過失犯の一類型である以上、
結果発生に対する予見可能性がなければならない。そして、管理過失の予見可能性の問題について、
まず過失の構造を明らかにした上で、それを検討していくのが有用である。
(1)この点、現代の社会では例えば車の運転のように社会的に有用な行為であっても危険な行為が少なくなく、
これらの行為を禁圧するような解釈は妥当でない。思うに、刑法の目的が法益の保護と並んで、
社会秩序の維持にもあることに鑑みれば、違法性の本質は社会的相当性を欠く法益侵害をいうと解されるところ、
ある程度予見可能であった法益侵害が発生したとしても、当該行為をなすに際して社会的に相当とされる注意義務を
尽くしているときには過失犯は成立しないものと解すべきである。そこで、過失が成立するためには、法益侵害結果を
回避するために社会生活上必要となる適切な態度をとるよう注意する義務(結果回避義務)が必要であり、
予見不可能な結果については回避することができないから、その前提として予見可能性が必要であると解する。
 よって、過失とは予見可能性を前提とした、結果回避義務違反と捉えるべきである。

40 :河童:04/03/06 01:18 ID:???
(2)では、客観的結果回避義務の前提となる、この客観的予見可能性をどのように捉えるか。
 この点については、客観的予見可能性は、客観的結果回避義務を導くものであるから、
何が起こるか分からないといった単なる危惧感・不安感では足りず、
一般人を結果回避義務へと動機付ける程度の具体的予見可能性が必要であると解する。
 ただ、発生する結果の詳細な内容を予見できなければならないとすると、
そもそも法益侵害の発生の予見を欠く過失犯では成立可能性をほとんど否定することになる。
 よって、過失犯では故意犯以上に法定符合説をとる必要性が高いといえ、
過失の予見可能性も、構成要件的結果を対象とすべきである。
(3)では、本問甲に具体的予見可能性が認められるか。
 この点について、宿泊客のタバコの不始末等が何時どの場所で起こるかということを
具体的予見可能性の対象とするならば、甲には具体的予見可能性は認められないことになろう。
 しかしながら、前述の抽象的符合説をとる以上、本問のように大型ホテルが防火設備もなく、
従業員の防火訓練等もせずに不特定多数の宿泊客相手に営業をしていたような場合、
実際に火災になる原因について具体的に予見可能性がないからといって、
代表取締役等管理責任者の過失責任が否定されることにはならない。
 なぜなら、頻繁に不特定多数人が出入りし、通常昼夜を問わず火気・ガス類を使う調理場が稼動している
大型ホテルでは、宿泊客のタバコの不始末や調理場の事故により火災が発生することは、
ホテルの管理者のみならず一般人であれば容易に予測し得るため、
防火設備等がなければ人の死傷という構成要件的結果が発生することについても容易に予測し得るからである。
 この点に関して、過去における同様のホテル火災の悲惨さは衆知であり、その苦い教訓を活かすべきことを考えても
甲が自己に具体的予見可能性がなかったとして責任を免れることは許されないと解すべきである。

41 :河童:04/03/06 01:20 ID:???
5 では、甲には客観的結果回避義務違反、すなわち過失行為が認められるか。
 この点について、防災体制がまったく確立されていないとはいえ、
ホテルに客を宿泊させるという作為自体を過失行為とするのは不自然であり、妥当でない。
そこで、防災体制をまったく確立していなかった不作為を過失行為と解すべきである。
 そして、甲は大型ホテルの管理者責任者として、火災になった場合に人の生命身体に危害が及ばないよう、
被害を最小限に食い止められるように防災体制を確立しておくという客観的注意義務を負っていたにもかかわらず、
不作為によりこれに違反したことは、過失行為といえよう。
6 最後に甲の不作為による過失行為と、宿泊客の死亡という結果との間に因果関係があるか問題となる。
 この点について、本問では、防火体制がまったくなされていなかったため、短時間で延焼が拡大し、
従業員の行動も不適切だった「結果、逃げ遅れた宿泊客が死亡した」という事情があることから、
相当因果関係を認めることができよう。
7 なお、本問では従業員が期待された宿泊客の誘導や消化活動等をなしていたならば、
宿泊客の死亡という結果はなかったとして、いわゆる信頼の原則の適用も考え得るが、
本問のような管理過失が問題となる場合、そもそも従業員に期待できないという客観的状況自体が
管理過失の一要素となっているため、信頼の原則の適用は問題とならない。
8 以上より、甲には、管理過失に基づく業務上過失致死罪(211条前段)が成立する。

*後述
スタンダードの「模範解答」では、甲に予見可能性なしとして不可罰としています。
「そんなバカな!!」と鉛筆で自作のコメントがあったため、じゃあ自分ならどうするのか、と答案作成してみました。

類似の判例があるはずですが、例によって確認していません。日曜日に予備校にいくので入手するつもりです……。
また基礎がおろそかになっていないか、それが一番心配です。

42 :河童:04/03/06 01:32 ID:???
*追記
Lec択一六法によると、学説には「中間項」(でしたっけ?)という概念があるようですね。
その概念によって、監督過失の予見可能性に幅をもたせて妥当な結論を導こうとしているのでしょう。
私の場合、この理論も実戦投入=本試験で実際に論述することは無理でしょうが、
肝心の内心的「妥当な結論の決定」には役に立ちそうですね。

43 :30:04/03/06 01:32 ID:???
>>37
なるほど。いい勉強のきっかけになりました。

百選Ip.27にもあるように、「「危険性」の有無は、現実に生じた具体的結果に対して行為者の行為が
実際に及ぼした寄与度(影響力の大きさ)を考慮したうえで決定」され、「被告人の行為による影響力
が圧倒的に強固である」から、仮にその後に異常な介在事情があっても因果関係は肯定される、という
点が示唆されています。

とすると、裕子さんは、「強度の」脳震盪ということから、第1行為の具体的結果に対する影響力が大
きいとみているわけですよね。
これに対し、わたくしは、頭蓋骨骨折等の傷害を負わせているような第1行為であれば、影響力が圧倒
的に強固であると評価できるが、本問はそこに至っていないと評価したわけですね。

まさに、ここが評価の分かれるところなのでしょう。とりあえず、本問はこの位でしょうか。


44 :30:04/03/07 00:07 ID:???
こんばんは。
監督過失は個人的に苦手な論点。ただ、皆、ここ書けるんですよね。困った。

>>38-42
過失犯の書き方なんですが、
>甲は「注意を怠」ったといえるか。
から過失構造論への開き方ですけど、わたくしは塾の書き方を使っています。
セミナーは、ここで論点の問題提起をするんですけど。趣味の問題かも。
なお、後の展開から考えると、ここまで書くことができるスペースはないかもしれません。

具体的予見可能性説なら、内容を書かないとまずいと思います。「特定の構成要件的結果の発生および結果の発生
に至る『因果関係の基本的部分』についての予見可能性」ということです(なお、具体的には、火災事故の場合に
は「火災発生の可能性とその予見あるいは予見可能性」「火災が発生した場合における人の死傷の予見可能性」で
す。で、本問では「火災の発生についての具体的な認識、予見可能性」が必要かが問題でした。)。

残りの部分は、河童さんのような立場(防火管理体制についての不備を認識、予見している以上、宿泊客などに死
傷の危険の及ぶ恐れについての予見可能性が認められる。よって、火災の発生についての具体的な認識、予見可能
性は必要ではない、との考え)もありますから、問題ないような気がします。

あと、論じるべき論点は結構、沢山あったと思います。ちょっと、網羅する時間がないので、誰かよろ。

中間項理論の答案は、これまた塾で見たことがあります。参考になるかも?たぶん、塾出身と思われる131さんが
詳しいかと思います。この論点、塾でホントよく出てますよ。好きなのかな?

いずれにせよ、構成要件ごとに書いていくスタイルは同じなので、参考になります。とはいえ、わたくしは論証の
部分が本当に少ない答案を書きます。実はへなちょこです。ではまた。


45 :河童:04/03/07 00:25 ID:???
30さん、こんばんは。
ご指摘ありがとうございます。


>具体的予見可能性説なら、内容を書かないとまずいと思います。
まさにこの部分の私の論述の弱点が知りたかったので、非常に有益でした。

*この問題、本試験で出るとしたら、おそらく名目取締役みたいなヤツが出てきたりして、
「共犯」が絡むんでしょうね。過失犯・不作為犯と共犯の関係もありますし。
そうなると、個々の論述は短く短くしていかないといけませんし、厄介この上ないような。
どこかに良問(できれば「模範解答付き」)はないものか…と思っています。

46 :131:04/03/07 01:44 ID:???
こんばんは。またも苦手分野です…。

>>38-42
河童さんは予見可能性につき前田説に立たれるようなので、
>>44
>具体的予見可能性説なら、内容を書かないとまずいと思います。「特定の構成要件的結果の発生および結果の発生
>に至る『因果関係の基本的部分』についての予見可能性」ということです
因果関係の予見可能性は対象としなくてよいでしょう。その分を中間項理論で埋めるのだと思います。
ちなみに塾で中間項答案を見たことはありません。判例だと中間項の出る幕はないように思いますが…。
30さん、出題時期等ご存知ですか?

論ずべき論点は(予見可能性に限っていえば)、
@予見可能性の対象
 判例:結果+因果関係の基本部分
 前田:結果のみ(中間項を設定・加味)
A因果関係の基本部分の範囲(@判例からの派生)
 生駒トンネル判決一審:具体的な基本部分
 生駒トンネル判決最高:抽象的な基本部分
B予見可能性の程度
 多数判例(北大電気メス判決等):具体的予見可能性説
 森永ミルク事件差戻審:不安感説
C具体性の程度(B具体的予見可能性説からの派生)
 法定的符合説:認識可能性は不要
 具体的符合説:認識可能性が必要

というところでしょうか?訂正よろしくお願いします。

47 :30:04/03/07 02:15 ID:???
こんばんは。

>>46
ありゃ、そうなんですか?河童さんはどっちですか?
違法性の本質は、結果無価値、行為無価値二元論だし、構成要件レベルで結果回避義務とか書いてるし、
前田ではなくて、通説だと思って指摘したんですが。
なお、学者スレは結果無価値(前田、堀内)が主流なので、わたくしには、ちと辛いです。
書研の過失犯の記述は本当に目からウロコです。また、弥彦神社事件の判例も大変参考になります。

>131さん
今、答案ファイルが手許にないんですが(これだけ置き忘れてきた)、確か、数年前のペースメーカー
叉は直前答練だったと記憶してます。2通あったやつです。ただ、貰い物の答案なので、記憶が不確か。
でも、そうすると、わたしが入手したのは凄い偶然?ではまた。

48 :河童:04/03/07 09:22 ID:???
131さん、30さん、おはようございます。
模試前なので、手短にて失礼します。

私は、キャラクター的におわかりいただけると思いますが、
バリバリの倫理刑法に近い「行為無価値」人間です。(偶然防衛絶対許すまじ)

ただ、刑法学的にどのような評価を受けているのか知りませんが、
(許すまじ)結果無価値ながら、前田説はこまごまと規範を立てるので、
私も不完全ながら借用させてもらうことがあります。

私は確固たる学説を理解した上で統一的に書けませんので…。
単なる過失犯については、間違いなく大谷説がベースのはずなのですが。
管理過失については、かなりアバウト(非法律論文的という意味で)に書いたので、
我ながら情けないことに、自分の説がわかりません。

49 :河童:04/03/07 09:27 ID:???
ちなみに。
管理責任の場合は、「災害対策」等が問題となることも多いので、問題のような「人災」に限らず、
「地震」とかでも防火対策が確立されていなかったために、被害が発生した場合には過失責任が問題となるはずです。
そして、火災の原因が「地震」であっても島国日本であれば度々起こるので、予見可能性ありとできる解釈が必要だと思います。

そうすると、「因果関係の基本的部分」に触れるべきなんでしょうか。。
では、また。

50 :裕子:04/03/07 13:29 ID:???
>>39-41
ホテル・ニュージャパンですね。なかなか書きにくい問題だと思います。
答案表現といいますか、書き方として気になった点を。

1、の1・2行目は不要でしょう。既に結論を決めてかかっているような印象を受けるかも。
2、は丁寧です。もっとあっさりでもいいと思いますけど。
3、4、はナンバリングが気になります。要件ごとの割り振りでいいのでは。
4(1)の過失構造論は、私はいらないとおもうんですけどね。予備校では点が振られているのかな?
過失の定義だけ示して、あとは体系に沿って論じていく方向で十分だと思うんですが…
4(2)(3)が本問の急所ですね。山場を作っている点は評価できると思います。
ただ、反対説への配慮が少し足りないと思います。ここは批判が強いところですから、
(悩んでいなくとも)悩みを見せるべきだと思います(というか悩むべきとこなんでしょう)。
抽象的符合説→法定的附合説ですかね。
5,6、もっとあっさりでいいと思います。ただ、きちんと認定している点は評価できると思います。
7、は書く場所が不適切かな。4で触れておくべきことだと思います(内容に疑問がありますが)。

4(2)(3)をもっと膨らませて、逆に他の部分はもっとあっさりと、
というメリハリをつければ、さらに良くなるかと。

51 :裕子:04/03/07 13:33 ID:???
>>50
> (内容に疑問がありますが)
>>39-41でかかれていたのは、管理過失ですよね。
7、の内容は狭義の監督過失を問題にしているように見えるんですよ。
管理過失は他人を介さない自己の過失が問題になっているので、
信頼の原則はそもそも問題にならないのではないでしょうか。

52 :131:04/03/07 20:32 ID:???
>>47>>48
あ、すいません。規範だけみて前田だと決め付けてました。
結果無価値と行為無価値の筋がどう違うのかとかよく知らないもので…。失礼しました。

数年前のペスメと直前ですね。
どっちも受けてないので(去年まで基幹講座生)、知人に声かけてみます。
それにしても、最近過失の問題はほとんど見ないですね。


53 :河童:04/03/07 23:12 ID:???
裕子さん、大変ご丁寧な添削ありがとうございます。

確かに、かなりメリハリのない答案ですよね。
ツラツラと基本を復習しながら書いていますので、どうしてもメリハリがなくなってしまいます。
既述ですが、おそらく本試験で出たら共犯が絡むでしょうから、全体的にもっとスッキリさせないとダメですね。
ご指摘のように反対説批判も必須でしょうしね。

信頼の原則については、思いついたので書き足してしまいました。
これに触れる必要はない上に、勉強しないでいい加減に書いてしまいました。反省。

*本日、刑法判例本をようやくゲット。
薬害エイズとホテルニュージャパンの判例が載っていますので、
ちょっと落ち着いたら勉強しなおしてみます。

54 :30:04/03/08 04:43 ID:???
過失犯の書き方についての若干の補足を。

わたくしの方針ではなりますが、過失犯の問題において反対説は書かないつもりです。ただ、
個々の問題点の体系的な位置付けに十分に留意して項目を立てるという点が重点ポイントに
しております。
実は、過失犯の理解を示す上で、確かに、反対説を取り上げて論点を浮かび上がらせて理解
を示すという方法もありますが、答案全体で理解を示すという方法が有効だと考えています。
わたくしの周辺では、これを「体系の答案への表現」なんて言ったりしています。

まあ、当たり前過ぎることなんですが、答案を数多く見れば分かると思いますが、間違いが
多いんですよ。再現答案でもそうです。これが評価にどのようにつながるかは、再現答案集
をご自分の目で見て判断するのが一番かと思います。

で、この方針で考えた場合に、過失犯において最大の問題となるのは、因果関係の取り扱い
です。構成要件の客観面である因果関係がなぜ過失行為の後に検討されるのか?これは随分
前から受験生の間で議論された問題で、かなりの難問です。自分なりの方針を立てることが
大切かと思われます。

わたくしは、書研のとおり、最後に書きますが、ただ、因果関係を機能的に捉えていまして、
処罰範囲を限定する機能という面から考えますので、絞り込みの場面には必ず書きますが、
そうでない場合に、体系の混乱という印象を与えるような書き方になりかねないときには、
本当に最小限ないしは書かないという方針にしています。この見切りはかなり訓練している
つもりです。参考になれば幸いです。ではまた。

55 :裕子:04/03/08 09:05 ID:???
>>53
> ご指摘のように反対説批判も必須でしょうしね。
すみません。
>>50「反対説への配慮」というのは、反対説批判必須というつもりではありませんでした。
もちろん反対説批判してもいいんですけども、
直接しなくとも、反対説があるのは知ってるな、とか、
自説の弱点がよくわかってるな、という論述の仕方はあると思うのです。
そういう意味で「反対説への配慮」というのを申し上げました。
>>54にもご指摘があるように、私もあまり反対説たたきというのはしないですね。
なんか読んでてまどろっこしい気がするんですよ。たたくと。
たたいて、論理的に結論が出るのならいいですけどそうではないですから。


56 :裕子:04/03/08 09:08 ID:???
>>54
> 構成要件の客観面である因果関係がなぜ過失行為の後に検討されるのか?これは随分
> 前から受験生の間で議論された問題で、かなりの難問です。
新過失論なら、当然の気がするんですが、どんな議論があるのでしょうか?
ちょっとよくわからないのですが…

57 :30:04/03/08 10:20 ID:???
おはようございます。時間がなくちょっとだけしか書けませんが。

>>56
新過失論で過失の客観化が進んだとはいえ、構成要件的過失というのは主観面の問題をも含む
ように思われるからです。その後に客観面の問題である因果関係を検討するのはどうなのか?
という疑問を提起した人がいました。まあ、これは、客観面と主観面とを構成で厳密に書き分
ける人が直面した問題点です。主観的な要素を含ませたくないと思っていたわけです。

かといって、過失行為自体は客観的なものなので(それはそれで正論なんですが)、分析的に
捉えて、過失行為だけを取り出して、これと結果との因果関係を検討するというのができるか
というと、これは不自然だということです。構成要件的過失を論じる際に、主観的な不注意と
客観的な過失行為とを切り離して論じることが難しいと思われませんか?ですから、わたくし
自身は書研でいいんじゃないの?と思っていました。根が大雑把な人なので、気にはしません
でした(厳密に分けたいのなら、新過失論は採らない方がよいのかも?と言いそうになりまし
たw。)。

たた、この書き方ですと、どうしても「因果関係の基本的部分についての予見可能性」の論点
を因果関係の検討よりも先に論じなければならないので、主観面が先行して議論しているよう
に受け止められることがあります。これをどうするか?ってことです。

いずれにせよ、きちんと対応できればいいだけですけどね。

これと類似する問題は、方法の錯誤の場面で、大谷先生が錯誤を論じた後に、相当因果関係で
絞りをかけようという主張をされている(されていた?現在は不明。)ところでも生じます。
じゃあ、錯誤を論じるより前に、因果関係で絞れよ、という突っ込みです。

まあ、結構、書き方にもこだわりを持った人がいたんですね。採点者がどのように考えるのか
を試行錯誤した末のお話でした。とりあえず、こんな感じで。

58 :河童:04/03/08 13:34 ID:???
うーん。議論が難しくて自称中級者の端くれにはついていけません。

しかし、反対説批判うんぬんと関連していえば、私は、例えば本問の場合でいえば、
「代表取締役にとって、宿泊客の当日深夜のタバコの不始末で火災となり、
死傷者が出ることについてまで予見不可能であるとして過失責任を否定する考え方もあろう」
「しかし…」というふうに、真正面からの「反対説」批判でなく、「反対結論」批判をするつもりです。
その「反対結論」を例によって新聞レベルで攻めますが、どこまで反対説を意識したものにできるかが課題です。

因果関係は、どうも私みたいな自称中級者はサラリと論じるのがよいのでしょうね。
*問題文を読んで結論として、過失犯の成立を否定する場合には、
→新過失論からすれば、「社会通念上標準以上の防火対策」をしていたなら、そもそも注意義務違反を否定。
→過失犯も不成立→因果関係について論述は必要なし。

*問題文を読んで、結論として「過失犯」を成立させるつもりならば、相当因果関係の認定を冒頭に持ってきてしまう。
例えば、本問の場合であれば、

本問ホテル火災では、防火体制がまったくなされていなかったため、短時間で延焼が拡大したことに加え、
消防訓練が行われていなかったことから従業員の行動が不適切だった「結果、逃げ遅れた宿泊客が死亡した」
という事情があることから、防火体制の不備と宿泊客の死の結果に相当因果関係を認めることができる。
そこで、甲に業務上過失致死罪(211条1項前段)が成立するのではないか、すなわち、
Fの防火体制の不備が長年にわたってFの管理上の権限を掌握していた甲の過失といえないか問題となる。

みたいな感じでしょうかね…。甲に犯罪が成立するとしたら、業務上過失致死罪だけですからこういう書き方もセーフかなと。

59 :河童:04/03/08 13:58 ID:???
監督過失や管理過失について、問題文をみて過失犯成立の答案結論を決定するような問題文の場合、
とりあえず「相当因果関係」を肯定してしまえるような問題文が出そうな気がするんですけどね…。
(例えば、本問の場合はそうだと思います)
「相当因果関係問答無用肯定→予見可能性重視型」とでもいうべきでしょうか…。

「さーて、相当因果関係認定はOK。本問出題趣旨である管理過失、予見可能性について、おおいに論じるぞ」みたいな感じで、
読み手としても、サラリと読み流してくれるのでは(私の場合、こんな期待ばっかですが)。

*一連の書き込みが見当外れだったら申し訳ありません。

60 :裕子:04/03/08 18:54 ID:???
>>57
> 新過失論で過失の客観化が進んだとはいえ、構成要件的過失というのは主観面の問題をも含む
> ように思われるからです。その後に客観面の問題である因果関係を検討するのはどうなのか?
> という疑問を提起した人がいました。
うーん、よくわかりませんね。どうも私には新過失論を誤解してる問題意識に思えます。
故意犯の実行行為性の認定のところで行為者の認識が影響するように、
客観的注意義務違反行為の認定で行為者の予見可能性が影響することは、
なんの問題もないと思うんですけど。
しかも、新過失論の通常は、主観的構成要件要素を要求しないはずですし。
ということで、30さんご指摘の書き方で問題ないと思うんですけどね。
どうも先の問題意識は、(修正)旧過失論の体系と混同した誤解のような気がするんですが。

> たた、この書き方ですと、どうしても「因果関係の基本的部分についての予見可能性」の論点
> を因果関係の検討よりも先に論じなければならないので、主観面が先行して議論しているよう
> に受け止められることがあります。これをどうするか?ってことです。
「主観面」が先行するのは、前述のように、別にいいと思うのですが、
因果関係の認定の前にその予見可能性を論じるのが気持ち悪いのはよくわかります。
まあ、その辺は気にしなくともいいのではないでしょうか。
厳密な因果関係の予見可能性を問題にしているならともかく、違うわけですから。
私は故意犯につき因果関係認識不要説にたつので、
ここも因果関係予見可能性不要説にたとうかなと思っています。
この立場なら、先の問題は生じませんけどね。ただ、実際どう書くかは今検討中です。

61 :131:04/03/08 18:58 ID:???
>>56-57
勉強になります。
「一般人基準の予見可能性」といってみても、
確かに予見可能性の評価には主観が交じってしまう印象がありますね。

>>59
>読み手としても、サラリと読み流してくれるのでは
河童さんは基本部分を押さえつつ、自分なりの論じどころを厚くしているので、
その感覚が採点者と合致するとベストですよね。
だんだん予備校も出題意図との合致を至上命題にしつつあるような気がしていますが、
裕子さんのおっしゃるように、やはりメリハリと、あとバランスを見たいんでしょうね。

62 :河童:04/03/08 19:23 ID:???
* 少し雑ですいませんが、過失について考えてみました。(全然見当違い?あるいは当たり前?)

例えば、震度3の地震でも倒壊するような建物があって、そこに十数人の人がいたとします。
しかし、震度7の大地震に襲われて建物が倒壊してそのうちの十人が死んだとします。
この場合、震度7の大地震は予見可能性がないとして、建物の所有者兼管理責任者「A」は
建物の現状をよく認識していたにもかかわらず、過失責任を免れるのでしょうか。
震度3で建物が倒壊して人が死傷した場合には、Aは問題なく過失責任に問われるでしょう。
そう考えてみると、震度7なら大災害であることが免罪符となって、Aが過失責任を免れるのはおかしいと思います。
なぜなら、死亡した十人の中には、建物の地震対策が甘かったために死ななくてもよい命が失われている蓋然性が
高いからです。そうであるとすれば、死亡した十人の中の誰の死と相当因果関係が認められるかは別の問題として、
地震対策の甘さと幾人かの死亡の結果との間には相当因果関係が認められるはずです。

では、Aに予見可能性はあるか。この予見可能性については、
たとえば震度3・震度4の地震がくることについては珍しくなく、予見可能性を認めるべきなのですから、
「震度3以上の地震」がくることに関して予見可能性を認めるべきで、それは当然震度7の大地震も含むはずです。
よって、具体的に震度7の大地震がくることに予見可能性はなくても、「震度3以上の地震」がくることについては、
十分に予見可能性があるため、Aに予見可能性も認められるということになりませんか。

そもそもこのような場合、具体的な災害の予見可能性でなく、「災害対策の不備」と
「一般的に予期し得る災害が発生した場合に人の死傷の結果が引き起こされることの予見可能性」及び、
「災害対策の不備」と「人の死傷の結果」との間の相当因果関係が認められれば、よいと考えられないでしょうか。

*結局、同じことをいっているようですが、「災害」と「結果」の結びつきでなく、
「災害対策の不備」と「結果」との結びつきを重視しないといけないんだな、と一人確認した次第です。

63 :30:04/03/08 20:49 ID:???
>>60
別に、こう書くというのが決まっていれば問題はないのですが、少しだけ。

>故意犯の実行行為性の認定のところで行為者の認識が影響するように、
これは構成要件的故意の話ですか?構成要件の客観面において行為者の認識が影響するとされる
問題の典型は、折衷的相当因果関係説を採用した場合に起こりますけど。

>しかも、新過失論の通常は、主観的構成要件要素を要求しないはずですし。
ここは大塚先生や大谷先生の本を調べていただければ、すぐに分かりますが(大塚概説総論〔改
訂版〕p.124など、大谷講義総論〔第3版〕p.149など)、故意、過失は主観的構成要件要素で
すよ。

正直言って、この話は受験レベルを超えているような気がします。笑えない後日談ですが、これ
を議論していた人は、理論肌の人物で、現在、大学で刑法を教える人になりました。修正旧過失
論でw。で、わたくしに賛同してくれた人は、実務家(任官しました)です。当然、判例サイド
ですよね。何か不思議な感じもします。

>>62
「合義務的行為の代置」といわれる問題が生じていますよね。大塚思考方法p.307以下。トレー
ラー事件が有名ですし、かつて口述試験にも出題されました。また、この問題は管理、監督過失
の場面でも問題になると指摘されています。同p.314。
この問題の処理としては、因果関係の問題(条件関係、相当性の判断)を検討してから、過失論
(予見可能性、回避可能性)へと進んでいくとされています。同p.313。

とりあえず、こんな感じです。

64 :30:04/03/08 20:59 ID:???
>>63
下段の部分は間違い。撤回。何書いてんだろ?全然違うじゃん。

65 :裕子:04/03/08 22:35 ID:???
>>63
> >故意犯の実行行為性の認定のところで行為者の認識が影響するように、
> これは構成要件的故意の話ですか?
そうともいえますかね?不能犯で顕在化してくる話です。

> >しかも、新過失論の通常は、主観的構成要件要素を要求しないはずですし。
> ここは大塚先生や大谷先生の本を調べていただければ、すぐに分かりますが(大塚概説総論〔改
> 訂版〕p.124など、大谷講義総論〔第3版〕p.149など)、故意、過失は主観的構成要件要素で
> すよ。
私は、大谷の体系を除外する意味で「通常は」と申し上げました。
(手元にあるのは新版なのでひょっとすると改説しているのかもしれませんが)
前田も認めるんでしたっけ。大塚はよく知りません。
30さんの立場なら、故意に対応する意味での主観的構成要件要素は認められないのでは?
過失を大谷の体系で書く人はいるのかな?見たことないです。

66 :裕子:04/03/08 22:40 ID:???
>>64
まあ、似てないこともないのでは。
>>62はそもそも行為と結果の条件関係がないですね。
かなり特殊な体系をとらない限り、不可罰でしょう。
それよりも気になるのが、前述の答案と体系が変わってるように見えるのですが。
その点は大丈夫なのでしょうか。

67 :河童:04/03/08 23:34 ID:???
>>66
62について。
「防災対策の不備」がなければ、すなわち防災対策が水準以上になされていれば、
幾人かの死の結果はなかった、として条件関係が認められるのではないでしょうか。

もちろん、どの死亡者と防災対策の不備との間に因果関係があるか、はっきりとはわかりませんので、
本試験でこのような問題が出るとは思われません。それゆえ、あまり深く考えないことにします。

ただ、過失犯の場合、「相当因果関係」の認定は、故意犯より更に「ゆるゆる」でいいと思うようになりました。
30さんと、特に裕子さんにご説明いただき、前問で故意犯の相当因果関係がかなり柔軟に認定できるとわかりましたが、
過失犯の場合は、判例も故意犯以上に相当因果関係は「ゆるゆる」認定のようなので。。

*体系についてはご心配いただき恐縮です。私は「体系・論理」より「結論」先にありき、
という論述方法ですので、嘘と矛盾だけ書かないようになんとか勉強しようと思います。

68 :裕子:04/03/08 23:42 ID:???
>>67
> 「防災対策の不備」がなければ、すなわち防災対策が水準以上になされていれば、
> 幾人かの死の結果はなかった、として条件関係が認められるのではないでしょうか。
そういう意図でしたら結構なんですが、
震度7だったら普通建物は全壊ですから…問題設定に難ありということでしょうか。

69 :30:04/03/09 00:29 ID:???
>>65
こんばんは。
裕子さんは、おそらく思考方法p.302あたりを念頭に置いてお話をされているのだと思います。
この論旨ですと、新過失論の多くの立場では、構成要件レベルで客観的注意義務、責任レベル
で主観的注意義務ということが書かれています。それはそのとおり。で、大谷先生は、主観的
注意義務の問題を構成要件の主観面の問題とされているというのも、そのとおり。ここまでは
異論がないところです。

ただ、いろいろと本を読んでみても、掲げられている構成要件的過失の要件を1つ1つ吟味し
て割り振ろうとしても、できないんですよ。ここは、記述がごちゃついてる。つまり、位置付
けが明確ではないんです(わたくしができないだけかもしれませんがw)。

また、客観的注意義務といっても、本当に客観的なのか?といっても、言い切れませんでしょ
(過失なんだから仕方がないと言われれば、それまでなんですが)。

そのため、新過失論の多くの立場といわれるものが、過失犯では、構成要件レベルで、客観的
要素と主観的要素とを混然一体と論じている、というのが実情かと思われます(少し穿った見
方ですが、大塚裕史先生は客観的注意義務を「構成要件要素」とはされていますが、その属性
については、あえて書かれていないようにも読めます。)。

で、これに引きずられて、書き方を迷ってしまうと困る、という話なんですよ。ここは感覚的
な気持ち悪さなので、人によって重要度が違うとは思います。

ですから、故意に対応するという意味での主観的構成要件要素の位置付け云々というわけでは
ないのですよ。あえていうなら、これを実際にやろうとすると破綻しますよ、ということです。





70 :30:04/03/09 00:30 ID:???
ちなみに、前田先生は、主観的構成要件要素を肯定しますが、責任要素です。これは過失犯で
も同様です。ただ、修正旧過失論ですから、実行行為は「実質的に危険な行為」(平野先生と
同じ)なんで、まさしく客観的構成要件に位置付けるのにふさわしいものだと考えます。こう
いう点もあるので、上記では、前田先生の教科書は「外して」紹介しています。

まあ、ここでは書き方についてあまり問題はなさそうなので(皆、書き方が確立しているから)、
先に進んでよいのではないかと考えますが、いかがですか。

書き方で迷う可能性があるものとして、もし考えておくならば、監督過失で「合義務的行為の
代置」の問題が生じる場面とかでしょうかね。他の問題は因果関係を最後に論じておけば十分
だと思いますし。ではまた。

71 :裕子:04/03/09 01:51 ID:???
>>69
うーん、どうも30さんは悩まんでいいところを悩んでいる
(というか悩ましい指摘をされているのかな)ように見えるんですけども。

> また、客観的注意義務といっても、本当に客観的なのか?といっても、言い切れませんでしょ
これは言い切るべきなんだと思いますよ。
言い切れない、というのは結果無価値論からの(司法試験レベルでは)タメにする議論であって、
違法性二元論に立つと思われるここの人々の立場なら、客観的だと断言すべきだと思います。
それはもうそういう体系なんだと理解していいのではないでしょうか。
もちろん行為者の認識を加味して「客観的」というのは気持ち悪いんですけども、
それは二元論の前提ですから。そこは所与の前提として捉えとくべきなのではないでしょうか。
いや、ここは重要なんですよ、という話になるならば、
おっしゃるとおり、すでに受験レベルを超えているところに踏み込んだ話なんでしょうね。
結果無価値の体系か、行為無価値も加味した体系か、どちらをとるかの話でしょうから。
ということで、↓同意です
> 先に進んでよいのではないかと考えますが、いかがですか。

>>70
前田は責任要素でしたか。失礼。まあ、前田の体系なら何でもありな気もしますが。

72 :河童:04/03/09 12:01 ID:???
自分なりに過失犯と因果関係についてまとめてみました。

>>43
>百選Ip.27にもあるように、「「危険性」の有無は、現実に生じた具体的結果に対して行為者の行為が
>実際に及ぼした寄与度(影響力の大きさ)を考慮したうえで決定」され、「被告人の行為による影響力
>が圧倒的に強固である」から、仮にその後に異常な介在事情があっても因果関係は肯定される、という
>点が示唆されています。

「はっ」と思って確認したのですが、やはり、これはあくまで「過失犯(監督責任)」についてのお話ですね。
故意犯の場合には、相当因果関係が否定されるような「結びつき」しかない、あるいは「切断」がなされる事案でも、
監督過失犯の場合には、相当因果関係がかなり緩く認定されて肯定されています。

これは、監督過失の場合には、「不慮の事故が起こらないようにする義務」に違反しているから認められやすく、
(ですから「危険性」だの「誘発」だののといった言葉が出てくるのだと思います)
これに比して故意犯の場合には、「故意行為」と「結果」についての相当因果関係が認められにくいのだと思います。
(ですから「危険性」はともかく、「誘発」という言葉は、故意犯においては相応しくないと思われます)

相変わらず舌足らずですが…、私の考え方でいくと、
甲がAを小川に突き落とす行為とAの死の結果との間の相当因果関係は、乙の行為の介入によって切断されます。
しかし、甲が小川に落ちて強度の脳震盪を起こしているAをそのまま放置する行為(不作為による過失行為)の場合、
乙の介入行為によっては、なお甲の過失行為とAの死との間の相当因果関係が切断されないということができます。

73 :河童:04/03/09 12:18 ID:???
結局、Aの死亡は「甲が小川に突き落とす行為」とは相当因果関係は認められなくても、
「甲がAの安全を確保しない行為」とは相当因果関係が認められる。

これは、現実的に妥当な結論を決定するに際して非常に重要なファクターだと思います。

例えば。
北海道の深い森の奥でAが子供Bを殴って脳震盪を引き起こさせた。
その後、Bは熊に襲われ、脳震盪から回復していなかったために抵抗できずに死んだ。

北海道の深い森の奥でボーイスカウトの責任者Aが深夜に肝試しさせるという過失により子供Bを迷子にさせた。
子供Bは熊に襲われて死んだ。

私の感覚では、上段の事例では相当因果関係を否定しても、後段の事例では相当因果関係を肯定できます。
30さんが言及した判例は、夜間のスキューバダイビングという極めて危険な事案についてのものですから、
監督過失について、死の結果が発生すれば、相当因果関係が「ゆるゆる」認定になるのは頷けますが、
論森の問題である小川突き落とし事案では、「ゆるゆる」認定は避けるべきだと思いました。

*相変わらず法律的な考え方が苦手な私ですが、なんとなく自分の論述方針がまたひとつ定まった気がします。

74 :30:04/03/09 13:16 ID:???
>>72-73
一応、確認だけ。>>43の話は、夜間潜水事件の解説にありますが、大谷直人先生の大阪南港事件
評釈の部分です。ですから、傷害致死の成立が問題になってます。なお、夜間潜水事件は業務上
過失致死です。

次に、過失犯と因果関係については、百選I〔第5版〕(8事件)p.18にありますが、河童さんの
疑問に答えを出すものではないと思います。
で、故意犯と過失犯とで因果関係の認定が異なるのかという問題には明確なお答えができません。
感覚的な違いは理解できなくもないんですが。どなたか学者さんにでも聞いてみて下さい。ただ、
河童さんのお話は、受験生のテリトリーではなく、正直、学者の独自説に近いものを感じます。

わたくしならば、保留にして先に進みます。たぶん本番でも即死したりはしないと思うところな
ので。まさに「自由演技」の部分ではないでしょうか。なお、司法試験の世界における「自由演
技」は、「規定演技」で水準をクリアしないと評価が来ないので大変なんですよね。結構、規定
演技で失敗しているわたくしとしては、そこまで余裕がないというのが本音です。では。


75 :裕子:04/03/09 14:14 ID:???
>>72-73
ちがう方向に行きかけておられるようなのでちょっと修正をした方がよいかと思います。
(まあ、時には回り道も必要でしょうが、ほっておく必要もないので)

> 結局、Aの死亡は「甲が小川に突き落とす行為」とは相当因果関係は認められなくても、
> 「甲がAの安全を確保しない行為」とは相当因果関係が認められる。
これは前々問のことですよね。
前述のように、このように二つに分割して評価すること自体が妥当でないと思います。
さもないと、行為と結果発生に一定の時間を要する犯罪の多くは過失犯が成立してしまいかねません。
最初の作為で、後の不作為は(原則としては)評価されつくしていると見るべきです。
どんな場合に例外的な評価となるかは、いろんな事例に当たってから考えられるといいと思います。
あんまりないはずです。

76 :裕子:04/03/09 14:14 ID:???
>>72-73
> 北海道の深い森の奥でAが子供Bを殴って脳震盪を引き起こさせた。
> その後、Bは熊に襲われ、脳震盪から回復していなかったために抵抗できずに死んだ。
> 北海道の深い森の奥でボーイスカウトの責任者Aが深夜に肝試しさせるという過失により子供Bを迷子にさせた。
> 子供Bは熊に襲われて死んだ。
> 私の感覚では、上段の事例では相当因果関係を否定しても、後段の事例では相当因果関係を肯定できます。
問題は、なぜこの二つのケースで結論を異にするかです。
もし、それが内心の「故意」か「過失」かだけの違いなら、それは行為無価値一元論、心情刑法論となってしまい
(しかも結論が逆)妥当でありません。
河童さんの頭の中で、前提が違うのにあたかも同じ条件だと(無意識に)考えていはいませんか?
熊に襲われる危険性が、二つの行為で違う問題設定をしているのではないでしょうか。
もし故意犯と過失犯の因果関係を比較するのなら、結果に向けられた行為の危険性が等しい事例において、
故意があるかないかで比較しなくてはいけないと思います(いい例は思いつきませんが)。

因果関係の判断基準は故意犯も過失犯も基本的には同じだと思います。
ただ、過失犯は、基本が不作為犯であること、明確な意思がないのに行為自体は危険性がある場合が多い、
という点で(ほかにもあるかもしれませんが)、あたかも違うように見えるだけで、
因果関係の基本的な判断枠組みは同じはずです。

また、判例は相当因果関係説であるとは限りませんよ。むしろ条件説、せいぜい客観説だと評価されていると思います。
判例の結論が、相当因果関係説から当然に導き出されるわけではないです。
ご存知かもしれませんが、一応念のため。

77 :河童:04/03/09 18:11 ID:???
30さん、裕子さん、論理的ご指摘ありがとうございます。
私は、論理として上述のことを論文答案に論述する気はありません。
(理論的脆弱さ、というか、端的に「誤解」がよくわかりましたので、なおさらです)

>因果関係の判断基準は故意犯も過失犯も基本的には同じだと思います。
>ただ、過失犯は、基本が不作為犯であること、明確な意思がないのに行為自体は危険性がある場合が多い、
>という点で(ほかにもあるかもしれませんが)、あたかも違うように見えるだけで、
>因果関係の基本的な判断枠組みは同じはずです。

まさにその通りで、私は問題文を読んだときに自分なりの結論をどうするか、
ということの「内心的な決定」のためだけに72・73のように思ったわけでして、
30さんのいうところの「自由演技」をしようなどと大それたことは考えていません。
難しいことがわからない私のような論文の戦い方をする受験生(この板にいるのは私だけ?)のために、
「結論」の妥当性についての私なりの結論を出しておいたまでのことです。

この話はこれでおしまいにしますが、判例は過失致死罪の法定刑の軽さもあって、
死の結果を伴うと一気に法定刑が重くなる故意犯の場合よりも因果関係の認定を緩くしていると思えます。
それこそ感覚的なものに基づく、私の誤解なのかもしれませんが…。
判例が条件説から相当因果関係説と思われるものまで幅広いのは、事案に応じた「匙加減」のためだと、
私は理解していますし、答案レベル上にそれを現すことにします。

78 :河童:04/03/09 22:22 ID:???
>どなたか学者さんにでも聞いてみて下さい。

30さんの知己の方たちは、学者さんに大学教官等等。
裕子さんもかなり明晰な頭脳を持つ理論家肌の方とお見受けします。

私は、前の仕事(人に言えません)の関係で、弁護士先生は数人懇意にしていただいていますが、
刑事事件も手がけられているのはそのうち一人しかいません。
明日、ちょうど私に弁護士の道を勧めてくださった方と食事をする約束をしていますが、
他の方を含めて弁護士先生とは具体的な勉強の話なんて一度もしたことがありませんので明日もそうなるでしょう。
(前の仕事に関連する話が多いのです)。

もっとも、刑事事件を手がけられている先生にしても、もう60過ぎで、
「刑法なんてのは受験生時代が一番勉強した」という方ですから、
実際のところ、刑法理論では30さんや裕子さんに到底敵わないでしょう。

ただ、弁護士の先生の話で「なるほどな」と思ったのは、資格試験の採点者が評価するのは
車の免許試験(実技)と同じで、「こいつはうまい。よく練習しているな」と思った人間と、
「こいつはちょっと不安はある。しかし免許をやっても大丈夫だろう」と判断した人間だといいます。
司法試験でいえば、30さんや裕子さんは前者の部類を目指すべき方たちだと思います。
私はタイプ的に後者を目指しています。すなわち、運転でいえば、ヘタクソでも速度は出さない。
カーブを曲がるときや狭い道路で走るときは、更に慎重になって速度を落とす等々。
司法試験でいえば、極めて簡単な理論をベースにして、対立利益を指摘した上で、
当て嵌めでやや無理にこじつけてでも現実的に妥当な結論を導くということになりましょうか。

ですから、議論はなんとなく噛み合いませんが、勘弁してください。
私のほうは弱い理論的な部分をご指摘、ご説明いただき大変助かっていますので、
利益関係が一方的なような気がして恐縮ですが、これからもどうぞよろしくお願い致します。

79 :氏名黙秘:04/03/10 05:38 ID:???


80 :裕子:04/03/10 09:15 ID:???
>>78
> 利益関係が一方的なような気がして恐縮ですが、
いや、そんなことないですよ。こちらも勉強になります。

ところで、河童さんの考える「現実的に妥当な結論」ってなんですか?
国民、あるいは自分の報復感情が満たされる結論?
それとも、判例に近い結論?ケースバイケース?

81 :河童:04/03/10 09:43 ID:???
私の考える「現実的に妥当な結論」とは…。
逃げの答えのようですが、勉強を深めながらそれを探している気がします。

例えば、前前問の小川突き落とし甲は、みなさまに色々ご指摘いただいた上で、
傷害致死→傷害致死までは問えない、に変わりましたし。

とにかく、問題文に応じてケースバイケースは間違いありませんが、
報復感情うんぬんは極めて小さなファクターだとは思います。被害者が犯罪者を裁くわけではないですから。
ですが、「法が犯罪者を裁く」というよりは、「人(裁判官)が人を裁く」という感覚なのは否定できません。
とにかく、もしこの問題文の事案を最高裁が裁けばどういう結論になるか…ということを念頭に置いています。

試験レベルでいうと、理論は受験生それぞれでも、問題文の人物・事案の書かれた方から、
犯罪の成否・成立する罪名については、どうしても「模範結論」に近いなものがあるような気はしています。

結局、あくまでケースバイケースですし、抽象的ですが、いまのところ私が「現実的に妥当な結論」だと思うのは、
「判例より決して必罰的にならず、しかし判例と同等あるいはそれに近い程度には必罰的な結論」でしょうか。
(刑訴や刑法で、判例より必罰的な学者さんは逆の学者さんに較べて相対的にかなり少ないですよね。)

82 :河童:04/03/10 09:56 ID:???
ちなみに、前問の過失の問題でオーナー兼代表取締役に過失犯を成立させなかったら、
それは相当説得力のある論文を書いていないと厳しい評価になると思います。

よく覚えていませんが、昨年の刑法では、殺害しようとした被害者が生きていたのに既に死亡したと誤信して、
共犯者と一緒に埋めたヤツには、共犯の成立はともかく(私は否定しました)、殺人既遂罪を成立しない場合、
やはり相当説得力のある論文を書かないと厳しい評価になったと思います。
2問目の公文書偽造罪及び同行使罪についてもそうです。(特に行使罪は絶対成立させるべきだと思いました)
私は、私文書偽造罪にして即死だと思いましたが、「致死率」としては犯罪不成立のほうが高かったようです。
「罪刑法定主義の重視」が、一般的に「現実的妥当性」より評価されない試験なのか、
はたまた採点者によってひどく好み・評価の仕方に差がある試験なのか、
受験経験一回、受験生の友達が一人もいない私にはわかりませんが……。

83 :氏名黙秘:04/03/10 19:52 ID:???


84 :氏名黙秘:04/03/10 19:54 ID:???
>>82
再現あるならうpしてみれば?

85 :30:04/03/10 23:26 ID:???
こんばんは。
>84さん
わたくしから若干のお願いがあります。

まず、>>1にもありますように、実質的な論評、議論をするという趣旨ですから、議論の相手方としての
同一性を確保するため、何らかの方策を採っていただけませんか(例えば、以後、84と名乗るとか。これ
は1つの議論が終了するまでのものでもいいです。)。そうしませんと、刑法という論理の一貫性が重視
される科目で、混乱を招くからです。

ですから、当然ながら、「自分の考えは〜であり、…と書く」というものを提示していただくことになる
と思います。ここのスレですと、行為無価値を加味する立場で書く人が多いのですが、結果無価値論の方
の場合には、まるっきり違うという場面もありますので、ご注意下さい。これはいわゆる「行為無価値と
結果無価値との不毛な議論」を避けるためにも重要かと思われます。

さらに、答案の書き方等、受験生の領域の議論である、ということも留意していただいたいと思います。
これを超えるものについて、ああれこれ議論しても不毛ですので。答案にいかに表現するかという点から
かけ離れた議論は御遠慮下さい。超えそうな話題については、「先に進みませんか」ということで、進め
てきています。

加えて、択一前の忙しい時期ですので、答案をうpするという労力を払っていただいている方に対しては、
十分に敬意を払った応対をお願いいたします。一定の社会経験を経た方であれば、十分お分かりかと思い
ます。これは合格者の方であってもお願いしたいと思います。批判的検討は、丁寧な言葉遣いでもできま
すから。

最後に、以後、議論に参加をなさるのであれば、今までの議論、つまり相当因果関係説の危機、監督管理
過失、過失犯の因果関係などのテーマについて、84さんからの短いコメントをお願いします。

面倒なお願いもございますが、よろしくお願いいたします。

86 :30:04/03/11 10:12 ID:???
ご存知の方も多いでしょうが、書研講義案を使う方のために、
案内を貼っておきます。

>part 1
http://ruku.qp.tc/dat2ch/0310/21/1012600204.html
書研説の紹介が詳しい。

>part 2
http://school.2ch.net/test/read.cgi/shihou/1058355739/l50
現在のスレ。でつ先生、降臨で話題になった。

87 :裕子:04/03/11 11:14 ID:???
>>81
> 結局、あくまでケースバイケースですし、抽象的ですが、いまのところ私が「現実的に妥当な結論」だと思うのは、
> 「判例より決して必罰的にならず、しかし判例と同等あるいはそれに近い程度には必罰的な結論」でしょうか。
では、前前問の小川突き落としで、判例と異なる結論をとり、
前問の過失の問題では、判例と同じ結論をとった、
この違いは、どのように説明づけられますか。

>>82
> 「罪刑法定主義の重視」が、一般的に「現実的妥当性」より評価されない試験なのか、
> はたまた採点者によってひどく好み・評価の仕方に差がある試験なのか、
> 受験経験一回、受験生の友達が一人もいない私にはわかりませんが……。
私の感覚からすれば、結論そのものは、はっきりいって、なんでもよい、
問われているのは、その結論にいたるまでの思考プロセス(それを法的に表現する)だと思っています。
もっとも、プロセスのありうるパターンは限られているので、
このプロセスからだとこういう結論にしかなりえない(あるいはこんなプロセスなんてありえない)、
という意味での結論の妥当性の問題はあると思います。
(最悪なのが、その思考プロセスが見えないもの。この場合は結論がなんであれ点はつかないと思います)
そういう意味で、結論そのものの「現実的妥当性」自体が評価の対象となるものではないと思っています。
ということで、説得的だ(すなわち法律家の間で共有しうる)と思える法的思考プロセスを表現できるか、
が重要だと思っております。

ところで、河童さんはテキストは何を使っておられるのでしょうか。

88 :河童:04/03/11 12:22 ID:???
>>82
>では、前前問の小川突き落としで、判例と異なる結論をとり、
>前問の過失の問題では、判例と同じ結論をとった、
>この違いは、どのように説明づけられますか。
私は、現実に小川突き落とし事件があったとして、判例が傷害致死にとるかはわからないと思います。

私が使っているテキスト……というと、既述ですが、基本書はおろか予備校参考書も持ち合わせていません。
択一の問題を解きながら刑法理論を学んできたつもりです。あとは論文の森……。択一六法……。
(そういう人間ですので、あまり対等だと思ってお相手いただいても…)

結論の「現実的妥当性」うんぬんの話は、のってくる人もいないので、このヘンでいいことにしましょう。
私は私なりに何の理論もなく、知識もなく(免許を私文書)、文章もメチャクチャだったのに、
昨年の試験で思わぬ高評価が得られたのは、そこにいきつくのではないかと思ったゆえに、
私のような受験生のために少し情報の提供と意見の提出をしたまでのことです。

歴とした実力がおありで、確固たる理念をお持ちの方にはもともと無用のものだと思います。
(もちろん、「受験テクニック」とも言えぬものだと思いますしね)

89 :河童:04/03/11 12:32 ID:???
すいません。トリップ間違えました。82→87

*前置き
やはり具体的な答案がないと私は法律理論が語れないので、スレが締まりませんね。
答案の書き方・作成方針は人それぞれで、万人にとってなにがベストということはないのでしょうが、
正確な理論と知識は豊富に持っていれば持っているだけ有利なはずのものだというのは確かですよね。
今後も私の弱い部分である、その強化を目指したいと思います。

今回はほぼ辰巳の問題そのままです。問題文が長ったらしいですね。
複雑な正当防衛の事案でも「社会的相当性」の一点でゴリ押しする行為無価値な(というか、安易な)私だけに、
結果無価値の方や刑法理論をしっかり理解している方からよくご批判いただきたく思います。
どうぞよろしくお願いします。(理解が浅くて、行為無価値の方からも怒られそうです…)

問題
甲は歴史あるモータースポーツのラリー選手権大会に初出場するため、
同大会に何度も出場経験のある乙に助手席に同乗してもらい、練習コースにおいて、
高速走行で下り勾配のヘアピンカーブを曲がる練習を行うことにした。
試合で上位の成績を得るためにはそのカーブを最低60キロメートルで通過しなければならないが、
ベテランの乙も相当緊張するほどの高度のテクニックが必要なコースであった。
甲は未熟なため大変不安を感じており、また乙も初心者の甲には危険な運転走行で壁に激突するおそれがあることを
認識予見していたものの、試合に勝つためには一段上の技術に挑戦する必要があると考え、
乙が甲に対して技術と隔絶した運転をしないことと走行上の基本的ルールを守ることを注意した上で、
甲は60キロ走行にチャレンジすることになった。甲は、ハンドル・ギヤ・ブレーキ等の微妙な操作について
同乗した乙のアドバイス通りにヘアピンカーブを曲がろうとしたところ、運転操作を誤り急ブレーキを踏んだため、
走行の自由を失い、車をスピンさせて転倒させ、自らはからくも脱出し軽傷で済んだが、
乙を頚部骨折及び胸部圧迫により死亡させるに至った。甲の罪責はどうか。

90 :河童:04/03/11 12:35 ID:???
1 甲は運転操作を誤り乙を死亡させていることから、
甲に業務上過失致死罪(211条1項前段)が成立するのではないか。
2 まず、甲による車の運転は@社会生活上の地位に基づきA反復継続して行われる行為であって
B他人の生命・身体への危険を含むものであり、同条項にいう「業務」にあたる。
3(1)それでは、甲に過失があったといえるか、それを論じる前提として過失犯の構造について検討する。
 この点について、現代の社会では例えば車の運転のように社会的に有用な行為であっても危険な行為が少なくなく、
これらの行為を禁圧するような解釈は妥当でない。思うに、刑法の目的が法益の保護と並んで、
社会秩序の維持にもあることに鑑みれば、違法性の本質は社会的相当性を欠く法益侵害をいうと解されるところ、
ある程度予見可能であった法益侵害が発生したとしても、当該行為をなすに際して社会的に相当とされる
注意義務を尽くしているときには過失犯は成立しないものと解すべきである。そこで、過失が成立するためには、
法益侵害結果を回避するために社会生活上の適切な態度をとるよう注意する義務(結果回避義務)が必要であり、
予見不可能な結果については回避することができないから、その前提として予見可能性が必要であると解する。
 よって、過失とは予見可能性を前提とした、結果回避義務違反と捉えるべきである。
(2)これを本問についてみると、甲は高速でヘアピンカーブを曲がる際に急ブレーキを踏むと車の制御が困難になり
同乗者乙の生命に危険が及ぶことは予見し得た。にもかかわらず、
右行為を行うことは結果回避義務違反が認められ、過失犯の実行行為性を有するといえる。
4(1)しかし、被害者乙は運転技術の未熟な初心者甲が危険な運転走行をすれば、
壁に激突するおそれがあることを認識していた。そうでるとすれば、自己の生命に危険が及ぶことも
認識・予見していたといえる。そこで、いわゆる被害者乙の危険の引受けにより
甲の過失行為は違法性が阻却されるのではないか、危険の引受けに基づく違法性阻却の判断基準が問題となる。

91 :河童:04/03/11 12:36 ID:???
 この点について、前述のように社会的相当性を有する行為であれば違法性が阻却されると解されるところ、
被害者の危険の引受けにより、被害者に対する関係で行為に社会的相当性が認められることにより、
違法性が阻却される場合もあり得ると解する。
 もっとも、過失犯において問題となる危険の引受けの場合には、被害者が危険の内容・程度等を正確に認識した上で
引受けを行っているとは限らない。そこで、法益保護の要請も加味して、危険の引受けについて、
@被害者が結果発生の危険性を正確に認識した上でこれをなし、かつAその引受けにより当該危険行為が
社会的相当性を有するに至ったと評価される場合にのみ、違法性阻却事由として有効となると解する。
(2)これを本問についてみると、@乙は、甲の未熟な運転技術やチャレンジしようとする高速走行練習の危険性を
十分に認識し、壁に激突するという実際に発生した結果についても事前から予見した上で、甲の車に同乗している。
そして、A甲の行為は「歴史あるモータースポーツのラリー選手権」という社会的認知度の高いスポーツの練習であり
十分な安全設備があるであろう「練習コース」においてなされ、また甲はそれをなすに際して走行上の基本的ルールを
守っていたと考えられる。また、行為そのものがいかに危険とはいえ、
試合でも実用される運転技術の練習にすぎず、無謀というほどのものではない。
 そうであるとすれば、甲の行為は、乙の危険の引受けにより乙に対する関係で
社会的相当性を有するに至ったと評価でき、その違法性が阻却されると考える。

92 :河童:04/03/11 12:37 ID:???
6 以上より、甲の行為は違法性が阻却され、甲に業務上過失致傷罪は成立しない。
 なお、かかる結論に対しては、生命侵害の場合、被害者の確定的明示的な法益侵害に対する承諾がある
同意殺人(202条)でさえ犯罪が成立するのに、被害者が確定的に法益侵害の承諾をしていない
危険の引受けにおいて何らの犯罪も成立しないとすることは均衡を失するという批判もあろう。
しかし、同意殺人の場合には行為者の殺意・法益侵害の結果も確定的であり、
一定の要件を満たした安楽死のケースを除けば、社会的相当性を有するケースは考えられないという点からすれば、
かかる結論は同意殺人の場合と較べて均衡を失するものではないと解する。


**後述
3(1)過失犯の構造論が長いのは、論述の練習のためですので、勘弁してください。
モータースポーツの運転者で焦って急ブレーキを踏むような男には問題がありますが、あえて無罪にしました。
最後の部分で、同意殺人との刑の均衡の問題意識を出しましたが、法益侵害に対する承諾の有無を強調しても、
過失致死罪と同意殺人罪で刑の均衡がとれているとすれば、これは問題ないと思うのですが。
(もっとも、過失致死罪が軽過ぎるから、危険運転致死罪とか厳罰化されているような気もしますが)

93 :131:04/03/11 21:06 ID:???
こんばんは。
>>89-90今回も過失ですね。内容面の議論は他の方におまかせして、形式面について。

・3(1)…いきなり違法性?と思いました。(練習用だったようですね)
・ (2)…予見可能性・回避義務とも行為者基準ですか?
      個人的には、責任過失との区別の観点から一般人基準がベターかと思います。
      (帝京大事件一審は予見・行為者、回避・医師たる地位にある一般人基準としているみたいですが、
       ここら辺は新旧過失論の領域なので指摘にとどめます。)
・4(1)…ちょっと書き直し案を提示します。

    そこで、いわゆる被害者乙の危険の引受けにより甲の過失行為は違法性が阻却されるのではないか。
    この点、(前述のように)社会的相当性を有する行為であれば違法性が阻却されると解するところ、
   被害者の危険の引受けによって、被害者に対する関係で行為に社会的相当性が認められることにより、
   違法性が阻却される場合もあり得ると解する。そこで、危険の引受けに基づく違法性阻却の判断基準が問題となる。
    思うに、過失犯において問題となる危険の引受けの場合には、被害者が危険の内容・程度等を正確に認識した上で
   引受けを行うとは通常限らない。
    そこで、被害者にとって不測の危険については行為者に帰責するという法益保護の要請も加味して、
   @被害者が結果発生の危険性を正確に認識した上でこれをなし、かつA被害者が引き受けをなした理由・状況、
   B行為者の引き受けに対する態度・行為状況などを総合的に考慮し、引受けにより当該危険行為が
   社会的相当性を有するに至ったと評価される場合にのみ、違法性阻却事由として有効となると解する。
    
      あてはめを見越した規範定立をすることが狙いです。
・4(2)…「十分に認識」→「正確に認識」(規範と形式的に対応)


94 :河童:04/03/11 23:55 ID:???
>>93 131さん、こんばんは。ご指摘どうもありがとうございます。

3(1)は、反対説である構成要件該当性阻却の評価を論じるべきでしたね。(ということですよね…)
学説の対立が激しいところのようですからね。
そうは思ったのですが、過失犯の構造に余計なスペースを使ってしまった分のしわ寄せです。
この点については、構成要件該当性阻却説をとるにしても結局のところ犯罪成否の結論は答案作成者次第で、
あまり理論によっては変わらないのかな、と思いまして、「反対結論」批判がうまくできないし、
今回は「まぁいいや」と思ってしまいました。本試験で出れば、余裕があるときは、多少なりとも触れるつもりです。

3(2)は無自覚でした。情けない…。
「危険の引受け」にばかり目がいって、「過失犯」がおざなりになってしまいました。
基準は、生命に危険のあるモータースポーツに携わる人間一般か、あるいは当該モータースポーツ競技者一般か。
それこそ、後述4(1)のところでご指摘いただいたように、自分のとりたい結論にあわせて選択することにします。
>帝京大事件一審は医師たる地位にある一般人基準としているみたいですが、
私は、これが問題に出れば、百選54にありますが、血友病の権威として薬事行政にまで携わる者一般を基準にしようと思います。
この事件について、私は許し難いものを感じていますから。(……。こういう発言が余計なのでしょう。以後、控えます)

4(1)については、>あてはめを見越した規範定立をすることが狙いです。
まったくもってその通りです。これは普段は結構意識しているのですが、失敗してしまいました。
特に私のように当て嵌めだけで勝負しようとするような人間にとって、決して忘れてはならないことです。
大変有益なご指摘&ご丁寧な書き直し案のご提示に感謝。

95 :河童:04/03/12 00:21 ID:???
過失犯成立に関する予見可能性とは別に、よく考えてみると、
危険の引受けに関する問題における予見可能性は、大変重要ですね。
改めて軽視し過ぎていたような気がしてきました。

結果発生の予見可能性の大小は、過失行為者・危険引受人・当該行為に関わる一般人という、
三者を基準とする視点のすべてが重要であるような気がします。

過失行為者と当該行為に関わる一般人の視点は、特に危険行為の社会的相当性判断において、
また、危険引受人基準の視点は、危険の引受けの有効性の程度(とあえて言ってみます)において、
それぞれ重要な要素となるように思われますからね。(あくまで私の考え方・答案からは、ということですが)

そう考えてみると、本問で過失行為者はかなりビビリが入っていて、危険についての予見可能性が高く、
初心者が挑戦するには極めて危ない練習であり、危険の予見可能性は当該競技者一般からしても高いはず。
ということは、危険引受人の予見可能性が高いことは過失行為者に有利に働くとしても、
本問の場合、「せいぜい違法性が減少する程度」(辰巳模範解答)とするのが妥当なのかもしれませんね。

**実は本問に関しては、「妥当な結論」が決定できなかったため、一応裁判例と同じく犯罪不成立だし、
結論部分である6(5の間違いです)の「なお書き」の部分をみなさまにご批評いただきたかったために、
犯罪不成立の結論にしただけの話なのです。
危険の引受けの問題が本試験で出た場合、「なお書き」部分は実戦投入を考えていますので。

96 :30:04/03/13 20:34 ID:???
こんばんは。問題選択のセンスがイイ!
過失犯における危険の引き受け、千葉地判平7.12.13判時1565.144ですね。
問題の所在は、法益侵害の結果についてまで同意しているとはいえないので、
結果無価値論のアプローチからすると、被害者の同意の法理が適用できない
のではないか、という点ですよね(なお、死亡結果ではなく、傷害結果であ
れば、同意による処理は問題がない)。まあ、こちらは下級審判決の立場を
ベースに書く人たちでしょうから、楽ですよね。

で、「直接的な原因となる転倒や衝突を予測しているのであれば、死亡等の
結果発生の危険をも引き受けたものと認め得る」とありますけど、このよう
にいえるためには、「転倒や衝突から生ずる死亡結果発生の蓋然性が高く、
そのことを被害者が認識していなければなりません」(以上、大塚、思考方
法p.332)とされています。

あてはめで危険の引受を認めるのであれば、千葉地判の事案と比較しつつ論
じるのが説得的だと思います。これはかなり解答者の力量が必要だと思いま
すが、判例重視の方向性の方ならば、一考に値すると思います。『歴史ある
モータースポーツ』の「ラリー選手権大会」と「ダートトライアル競技」。
社会的認知度は確かに違いますからねえ。

そんでもって、なお書き以下なんですが、同意殺処罰規定(202)の存在か
ら均衡を欠くという点に対しては、やはり何らかの答えをすべきだと思いま
す。まあ、百選にもあるような「同意殺人罪の保護法益を、生命以外に求め」
るというのは、あまりにもアクロバティック過ぎますからw。何か言い訳を
書いておけば良いところかと。自由演技の部分だと思います。批判は強いと
ころなので、「何か」書いて、法律家として考える力があることを示せれば
良いのかも。

なお、3(2)は、下手すると即死しかねないかも。わたくしも書いてしまい
そうで、自戒を込めて。ではまた。

97 :河童:04/03/14 09:21 ID:???
おはようございます。30さん、的確なご指摘どうもありがとうございます。

>で、「直接的な原因となる転倒や衝突を予測しているのであれば、死亡等の
>結果発生の危険をも引き受けたものと認め得る」とありますけど、このよう
>にいえるためには、「転倒や衝突から生ずる死亡結果発生の蓋然性が高く、
>そのことを被害者が認識していなければなりません」(以上、大塚、思考方
>法p.332)とされています。

ここが私の足りない部分ですね。高速で車が壁にぶつかれば死ぬだろう、という
「わかってくれますよね?」的な考え方というか論述はこの試験では禁物でした。
法律的な思考が身についてない証拠ですね。(行為無価値な頭もほどほどにしないと…)。

*向こうのスレの過去分をざーっと読ませていただきました。
択一の恐ろしさを改めて知ったような気がします。
これでも今年の私は去年の私の倍以上の実力があると思っていますが、
今年の私の倍以上の実力を持っているような方でも危険はある、と。
しかも、やはり去年の本試験を受けていない方の中にも、
すごい実力者はゴロゴロしてるんだな、と思うと、身が引き締まりました。

98 :河童:04/03/14 18:15 ID:???
本日、辰巳の答練で受けた「危険の引受け」の答案が返却されました。
答練を受け始めた去年の5月以来初の「27」という高評価を得ました(嬉しいです)。
慌てて131さんと30さんにご指摘いただいた部分を確認してみましたところ、
…無意識のうちにキッチリ書いていたのかと思いきや、やはりまるで無自覚(悲しいです)。
ほんとにそのまま見過ごしていたら危ういものがありました。

改めてお二方に感謝。択一の差し迫った時期に「添削」、ほんとうにありがとうございました。

99 :河童:04/03/15 23:19 ID:???
共犯の勉強をしましたので、早速一問アップさせていただきます。

*前置き
さすがに詰め込み過ぎでしょう。この問題。昨年の辰巳の直前模試の付録問題です。良問だとは思いますが。
なんでも直前模試は公表できる本試験の的中率を上げるために論点過多になるのは仕方ないのだとか。
というわけで、出題者(大学教授)のありがたい「模範解答」に対する添削も参考にして書いてみたところ、
分量を数行分オーバーしてしまいました。それでもだいぶ削ってみたつもりですが……。
それこそ引越し前の前スレで短く優れた「論証」が多数存在していれば活用させていただきたいものですが。
ところで、大学教授の添削はさすがです。拍手に値します。やはり正規に法律を学んだ人は強いはずですね。
(ちなみに、「模範解答」が誘拐罪を既遂と評価しており、教授添削で訂正されていませんでしたが…?未遂では?)

問題
甲は、サラ金の返済に困り、かねて顔見知りのA女(20歳)を売春に従事させ自己の債務を弁済させる目的で
同女の誘拐を企て、知人の乙に協力を求めた。乙は、甲の意図を知り最初は協力を断ったが、
甲から執拗に頼まれて断り切れず、何の見返りの期待もないにもかかわらず甲に同行して
A女の見張りを担当することになった。ある日、甲は「よいバイト先があるから紹介する」といってA女を誘い出し、
新幹線で東京駅まで連れていった。同駅で乙がトイレに行っている間、不安に思ったA女が
突然「帰りたい」と言い出したため甲と口論になり、甲はA女の胸倉をつかんで数回小突いた。
A女の悲鳴を聞いて駆けつけたBが、A女を助けようと思い甲の左腕をつかんだので揉み合いとなり、
甲はBの腹部を数回殴打した。ちょうどそのとき、乙が戻り、甲は乙と意思を通じて2人でBに更に暴行を加えた。
Bは腹部を殴打されたため肝臓破裂の重傷を負い病院に運ばれたものの死亡したが、
それが乙の加工前の暴行によるのか、加工後の共同暴行によるものかは不明であった。甲及び乙の罪責を論ぜよ。

100 :河童:04/03/15 23:20 ID:???
一 甲の罪責について
1 甲は売春させて自己の債務を弁済させる営利目的で、A女を誘い出しており、
営利目的誘拐罪(225条)の実行の着手があるが、東京駅で騒ぎになっているため、
いまだその実力支配に移したといえず、未遂罪(228条)が成立するにとどまる。
2 また、甲はA女の胸倉をつかみ、数回小突いていることから、暴行罪(208条)が成立する。
3 更に、甲はBを数回殴打した後、乙とともに更に暴行を加え、Bを死亡させているがいかなる犯罪が成立するか。
(1)甲に暴行罪(208条)が成立するのは問題ないとしても、甲はBの傷害・死亡の結果についても責任を負うか。
(2)この点について、仮に乙の加工前の暴行によりBの死因となった肝臓破裂が生じたのであれば
甲に傷害致死罪(205条)が成立することになろう。
(3)では、仮にそれが乙の加工後の暴行により生じたものであった場合はどうか、
傷害罪、また傷害致死罪という結果的加重犯の共同正犯が成立するかと関連して検討を要する。
 この点について、基本犯について共同すれば、これと相当因果関係のある重い結果も当該行為によって
惹起された結果といえるので、共犯者に共同正犯として重い責任を負わせても責任主義には反しないと考える。
 これを本問についてみると、甲乙の強度の暴行とBの脾臓破裂の結果との間には相当因果関係が認められるため、
この場合には、甲に傷害致死罪の共同正犯(60条)が認められる。
(4)このように、いずれにしても甲はBの死の結果について責任を免れることはできない。
4 以上より、甲にはA女に対する営利目的誘拐未遂罪(225条、228条)・暴行罪(208条)・
Bに対する傷害致死罪の共同正犯(60条、205条)が成立し、併合罪(45条前段)となる。
二 乙の罪責について
1 まず、乙は、甲のA女誘拐の見張りを担当し実行行為は分担していないが、いかなる罪責を負うか。

101 :河童:04/03/15 23:23 ID:???
(1)思うに、刑法の最大の目的は法益保護にあることから、正犯と従犯の区別は法益侵害に関与した程度・様態に
よって区別すべきである。そして、その区別にあたって実行行為を分担したか否かということが重要な要素となろう。
 本問では、乙は甲に執拗に依頼されてA女誘拐の見張りを担当したのであり、分け前の約束などはしていない。
また、A女誘拐に関しては単に見張り行為をしただけであるから乙を幇助犯(62条1項)とすべきであろう。
(2)としても、乙は「営利…の目的」(225条)を有していないため、乙に同罪の成立を認めることができるか。
 この点について処罰の範囲を不当に縮小させることなく、
また共同行為者の犯罪の成否が客観的になるよう「目的」は「身分」(65条)に含まれると解すべきである。
 なぜなら、65条にいう「身分」とは、一定の犯罪行為に関する犯人の人的関係である特殊の地位または状態を
総じていうものと解されるところ、「目的」もこれに含まれるからである。
 この点について、「目的」のような一時的心理状態は身分にあたらないとする批判もあるが、通常の場合、行為者は
自己の犯罪を完成させるまで「目的」をある程度の期間継続して有するのであるから、批判はあたらないと考える。
(3)そして、本問のように非身分者が身分者の犯罪に加工した場合に65条の解釈が問題となるが、
この点については文理に忠実に解釈して1項は真正身分犯に関する規定、2項は不真正身分犯の規定と考える。
であるとすれば、営利目的誘拐罪は真正身分犯であるため、65条1項が適用される。
(4)したがって、乙には営利目的誘拐罪の幇助犯が成立する。
2 次に、 乙は甲とともにBに暴行を加えているが、Bの傷害、更には死亡の結果についてまで責任を負うか、
乙の行為とBの死という結果との間の因果関係の存在が不明のため問題となる。
(1)まずBの死因たる肝臓破裂発生が乙の加工の前後にかかわらず、傷害致死罪の承継的共同正犯が成立しないか。
 この点について、60条が共同正犯について一部実行責任の原則を定めた趣旨は、
行為者が相互利用補充関係にたち犯罪が実現される点にある。

102 :河童:04/03/15 23:25 ID:???
そうであれば、後行者が先行者の行為・結果を
自己の犯罪手段として積極的に利用する意思で犯罪の途中から関与し、
自己の犯罪として実現するような場合には例外的に承継的共同正犯を認めるとしても、
原則として、後行者は関与前の行為・結果について責任を負わないと解すべきである。
 これを本問についてみると、乙には右のような積極的意思は認められないため、承継的共同正犯は成立しない。
(2)もっとも、B傷害の結果と乙の行為との間に因果関係が存在するか不明であっても、
同時傷害の特例を定めた207条により、乙はB傷害の結果について責任を免れないのではないか。
 思うに、同条のいう「その傷害を生じさせた者を知ることができないとき」には、本問のような場合もあてはまる。
そうであれば、同条は「共同して実行した者でなくても」、すなわち意思の連絡が全くない場合でも「共犯の例による」
というのであるから、本問のように途中から意思の連絡があった場合には当然に適用されると解してよい。
(3)では、乙はBの死の結果についてまで責任を負うか、同条が傷害致死罪の場合にまで適用されるか問題となる。
 この点について、同条はあくまで責任主義の例外規定であり、「傷害した場合」と規定されているのであるから、
安易に拡大して解釈すべきではないと解する。確かに、死亡したBに対し、
甲とどちらの暴行で死亡したかわからないほど強度の暴行を加えた乙の責任は重い。しかしながら、
傷害罪の法定刑は決して軽くないのであるから、かかる事情は量刑判断に際して十分に考慮すれば足りると考える。
(4)よって、乙には傷害罪の共同正犯が成立する。
3 以上より、乙には営利目的誘拐罪の幇助犯(62条1項、225条)と
傷害罪の共同正犯(207条、60条、204条)が成立し、これらは併合罪(45条前段)となる。

103 :河童:04/03/15 23:26 ID:???
**後述
乙に傷害致死罪を成立させるべきか……。乙のキャラクターが問題文から掴みづらいため迷いました。
もっとも、本問の乙は併合罪ですから15年まではブチこめるわけで、内心チラリと、それなら十分すぎるかなと。

「執拗に誘われて」という問題文がある場合に、私は、「執拗に誘われたくらいで重大犯罪の共犯になっちゃダメ」
といつも思うのですが、やはり共同正犯よりは幇助犯にすべき問題になっていますよね、大抵の場合。

読むのも面倒かもしれませんが、どうぞお時間があって、気が向いたみなさまはご指摘・ご指導・ご意見ください。
よろしくお願い致します。

択一模試で、合格推定点を切りました……。しかし、今年は論文で悔しい思いはしたくないので、
4月までは刑法論文を勉強します。刑法は論文と択一の勉強が最も密接な気がしますしね。
そろそろ択一で忙しい時期ですので、どうぞみなさまもご無理のない範囲でお願いします。

104 :131:04/03/16 21:02 ID:???
こんばんは。
>>99-103多論点型だけに、バランス勝負になりそうですね。

・一1(2)…展開不要でしょう。結論・単一理由(処罰範囲確保)だけで十分だと思います。
・ 3(1)…暴行罪「成立」といってしまうと後で面倒なので(罪数)、
      「傷害罪まで成立するか」とか濁すといいのでは。
・  (3)…ここはもう少し論理を出してもいいかも知れません。(メインなので骨太に)
          基本犯に結果惹起の危険大→相当因果内の結果発生も類型的に予定済み
         →因果あるか→(あてはめ)→予定された危険の範囲内→帰責できる
・二2(1)…「相互利用補充関係」のキーワードは規範定立時に再言したほうがよいと思います。
          →原則として、相互利用補充関係がないので、後行者は〜
・  (2)…>本問のような場合もあてはまる。
→問題文の「不明であった。」をひとこと引用するといいでしょう。

・**後述…>やはり共同正犯よりは幇助犯にすべき問題になっていますよね、大抵の場合。
 問題文中に >知人の乙に協力を求めた。乙は、甲の意図を知り最初は協力を断ったが、
      >甲から執拗に頼まれて断り切れず、何の見返りの期待もないにもかかわらず
 幇助で認定しろ!といわんばかりの事情がてんこ盛りですので、共同正犯で認定するのに比べて、
 幇助認定の立証責任(とでもいえるでしょうか)はかなり軽くなっていると思います。
 どっちともとれそうなときは、河童さんのおっしゃのように、やはり問題文に乗っかるのが無難なのでしょうね。

以上、いろいろケチをつけましたがいい答案だと思いました。よくまとまってますよね。
私は択一落ちなので…(いろいろ偉そうに指摘してきましたが)首絞めないように頑張ります。。

105 :河童:04/03/16 23:26 ID:???
げっ、131さんも昨年は択一で苦杯でしたか…。驚きました。
とても堅実な知識をお持ちの方だけに……。
今年はお互いに頑張ってなんとしても一緒に論文を受けましょう。

昨年の論文試験の成績なんてやはりアテになるものではありませんね。
ほんとに数多くの実力者たちが(不運にも)受験していなかったとわかると、
論文試験が極めて難関であるとともに、択一試験が極めて危険な試験であると自覚できます。

昨年の私のように、両訴の勉強時間がゼロに近くても、択一については臨戦態勢が整っている、
というような迷惑な(?)新参者の数が増えているのかもしれませんね。
択一は、2択・3択にまで絞った後の「運」が極めて大きいですし。

ともあれ、様々な有益なご指摘ありがとうございました。
次回作が既にできていますが、もう少ししたらアップするつもりです。
(とりあえず、択一終了までそれが最後でしょう)

106 :裕子:04/03/17 17:04 ID:???
>>99-103
・一3(3)…ここはコレくらいで十分(できればもう少しあっさり流したいところ)だと私は思います。
むしろ、ツボを抑えたよくできた記述と言えるのではないでしょうか。
それよりも「(2)(3)という結論になるから、たとえ因果関係不明でも死について帰責させてもよい」
という説明(問題提起)がない(ように読める)のが気になります。この論理は明示すべきかと。
・二2(1)…ここは簡単に切っちゃてもいいんでは。結論は明らかですし、207条の前提問題にすぎないですし。
・  (2)(3)ここはちょっと流れが悪いかな。思いつく論点を表現した、という感じになってます。
例えば、207条の文言に引っ掛けて、要件を検討していく、というスタイルとかどうでしょうか。
一部でも共同したものが「共同して実行した者でなくても」といえるか、
(いえたとして)「傷害」に傷害致死が含まれるか、という感じで。

107 :30:04/03/17 17:33 ID:???
>>99-103
「共犯と身分」や「結果的加重犯と共同正犯」については、超短文で対応します。これ論森にもある
はずです。特に、後者ですが、わたくしは長く書くことはないです。

承継的共同正犯から207条へのつなぎとして、207条が承継的共犯の場合にも適用されるか、という
点について触れなくていいんでしょうかねえ?わたくしの勘違いなのかな?省略されるんですか?
成立しない場合なのだから、なおさらという感じがしますけど。う〜ん、現場で判断するかな。

あと、要件ごとに吟味という方針>>106は賛成です。こちらを重視するならば、前提の論点であれば
多少、削るかもしれません。そうだとすると、二段目の論点は、その類いでしょうか。ではでは。

108 :裕子:04/03/17 17:56 ID:???
>>107
> 承継的共同正犯から207条へのつなぎとして、207条が承継的共犯の場合にも適用されるか、という
> 点について触れなくていいんでしょうかねえ?
二2(2)で触れられてますね。たしかにちょっとわかりにくいですが。

109 :河童:04/03/17 20:52 ID:???
なるほど。裕子さん、30さん、ご指摘どうもありがとうございます。
やはり、207条の部分の論述が甘いようですね。もう少しまとめないといけませんね。
次の問題は、叩き甲斐のある答案だと思います。

*前置き
*今回は論文の森の問題ほぼそのままです。
*刑法ではじめてアップできた私の納得の答案といえます。(理論的には?な部分もあると思われますが…)

*これをアップしたのは、「模範解答」で「同意殺人が成立する」とされている小問(2)について、
私がぶつぶつ言い続けてきた「現実的に妥当な結論」というのを具体的に体現することができたと思えたからです。
*また、類似問題でもほとんど必ず「模範解答」ではだいたい「同意殺人が成立する」とされていますが、
本試験で同様の結論を採る人間の答案が多ければ多いほど効果が大きいと思われる、「反対結論批判」をしています。

問題
以下の事案における甲・乙の罪責について論ぜよ。
(1)甲は、不倫相手のA女に別れ話をもちかけたが、同女はこれに同意せず、かえって心中しようと言い出した。
狼狽した乙は、心中する意思もないのに、表面上は同意を装い「自分も君の死を見届けてから後で死ぬ」といって
A女を騙した。同女がこれを真に受けて乙も追死してくれるものと誤信し、自ら青酸ソーダを嚥下して死亡した場合。
(2)乙は、日頃からB女と心中したいと考えていたところ、
あるときB女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして刺殺した場合。

110 :河童:04/03/17 20:53 ID:???
一 小問(1)について
1 甲はA女と心中する意思もないのに、表面上は同意を装って同女を騙し、同女は甲が追死するものと誤信して、
青酸ソーダを嚥下して自殺している。このように、自殺者が瑕疵ある意思表示によって自殺を決意した場合、
行為者には自殺教唆罪(202条前段)が成立するとすべきか、あるいは殺人罪(199条)が成立するとすべきか。
両罪の区別基準が問題となる。
2 思うに、自殺関与罪は、被害者が自らの意思によって保護法益である自己の生命を放棄している点で、
同じく保護法益を生命とする殺人罪に較べて違法性が少ないことから、殺人罪より軽い刑が設定されているのである。
 そうであるとすれば、自殺を決意する際に、被害者に自殺関与罪の保護法益に関する自己の生命処分に関する
主要部分に錯誤があれば、それは法益関係的錯誤といえる。よって、かかる場合には、
被害者に自発的意思がないものとして自殺関与罪は成立せず、被害者の行為を利用した殺人罪が成立すると解する。
 これに対し、保護法益たる被害者の生命と希薄な関係にある事情について錯誤があるにすぎない場合には、
被害者に自己の生命に関する錯誤がない以上、その自発的意思に基づくものとして自殺関与罪が成立すると解する。
3 これを本問についてみると、A女は甲が追死する気はないと知っていれば自殺しなかったと考えられることから、
自己の生命処分に関する主要部分に錯誤があるとして、甲に殺人罪が成立するとすることも可能であろう。
 しかし、本問において心中をもちかけたのはそもそもA女であって、また最も重要な要素である自殺の方法や
その時期については何らの錯誤もない。更に、A女は甲と同時に死ぬということでなく、甲が自己の死を見届ける、
すなわち甲が自己の死亡後も生存するということについて認識・認容している。そうであるとすれば、なお
A女の生命処分に関する主要部分に錯誤があったとはいえず、乙の欺モウ行為は自殺教唆にとどまると解してよい。
このように解しても、本問における諸諸の事情は、量刑において考慮すれば不都合はない。
 したがって、甲には自殺教唆罪(202条前段)が成立する。

111 :河童:04/03/17 20:55 ID:???
二 小問(2)について
1 本問B女の「刺し殺してもいいよ」との言葉は真意から出たものではないから、乙の刺殺行為は、
客観的には重い殺人罪の結果を生じさせている。しかし、乙はB女の言葉を本気にしていることから、
その認識は軽い同意殺人罪(202条後段)にすぎないとも考えられるため、問題となる。
2 この問題を論じるにあたっては、その前提として故意責任の本質につき論じておくことが有用であるが、
故意責任の本質は、違法な事実を認識すれば、規範の問題に直面して反対動機が形成できるにもかかわらず、
あえて犯罪行為に出るという反規範的人格態度に対する重い道義的非難の点にあると考える。
3(1)そこで、私見と同様に故意責任の本質を解する立場から、本問は抽象的事実の錯誤の問題であるとして、
行為者には、殺人罪と同意殺人罪との規範的に重なり合う部分についてのみ故意責任が認められ非難し得るとして、
乙に同意殺人罪を限度として犯罪が成立するとする見解もあろう。
 しかし、乙はその妄想に近い願望が高まって、いわば積極的に錯誤に陥ってB女を殺害している本問において、
近年のストーカー犯罪の増加などに鑑みるとき、かかる結論は著しく妥当性を欠くといわざるを得ない。
(2)思うに、同意殺人の成立には「嘱託」あるいは「承諾」(202条)が必要であるところ、「刺し殺してもいいよ」
というB女の冗談の言葉は自己の死に対する「認容」とは評価できても、「嘱託」とは評価できない。
また、乙の申込に対する「承諾」があったわけでもないため、本問では同意殺人の成立要件を欠くというべきである。
(3)実質的に考えてみても、同意があったものと誤信して違法行為をした者に対して、安易に故意が成立しないと
するならば、著しく法益保護に欠けることになる。例えば、前述の丙に同意殺人を限度に故意を認める見解によれば、
B女の「刺し殺してもいいよ」という言葉の有無にかかわらず、乙が錯誤に陥いてさえいれば、
殺人の故意が阻却されるということになるはずであるが、かかる結論が不当であることは言うまでもない。

112 :河童:04/03/17 20:57 ID:???
(4)違法性阻却事由としての同意及び本問同意殺人のように「違法性減少事由」としての「同意」の錯誤の場面は、
誤想防衛及び誤想過剰防衛の適用場面に似ているとも思われるが、誤想防衛・過剰誤想防衛のように
緊急行為としての特性を備えていないという点で大きく異なる。そうであるとすれば「同意」の有無の錯誤、
とりわけ刑法上の最たる保護法益たる生命の処分に関する「同意」の有無の錯誤については、
具体的ケースに応じて行為者の故意を阻却するものか否かを厳格に判断すべきである。
 本問において、乙は極めて軽率にB女の冗談を真に受けて同女が殺人に同意していると誤信したのであり、
かかる様態での同意の存在に関する錯誤については、責任故意を阻却する余地はないと解すべきである。
4 以上より、乙には殺人罪(199条)が成立する。

*後述
*甲には、殺人罪でもよかったのですが、乙に殺人罪を成立させることに決めたため、あえて同意殺人にしました。
*乙は日頃からB女と心中したいと思っていたため、誤信を招きB女を殺害したのに、
B女殺害後、自分がまったく死ぬ気がなかった(と思われる)ことは結論を決める上で大きな要素でしょう。
どうやら判例もほんとうの心中未遂には量刑のみならず、成立する犯罪についても寛容な様子。
行為者の行為当時の主観のみならず、行為後の行為をも考慮して(妥当な結論を導いて)いるとも思えますが、
行為後の事情により行為者の行為時の主観を推量している結果と考えることは可能かもしれませんね。

*同意の錯誤について
初産で出産が不安である旨の言動をなした妊婦に対して、医師が軽率にもそれを暗示的な堕胎の嘱託と錯誤し、
妊婦に無断で堕胎した場合、業務上堕胎罪(214条前段)しか成立しないとすることは
やはり著しく妥当性を欠く結論といえますよね。「模範解答」は結論まで論点主義になっているような気がします。

113 :河童:04/03/17 20:58 ID:???
*実は、まだ理解が浅くてわかりません。例えば、生きている人間が普通に公園で寝ているだけにもかかわらず、
死んでいると誤信したAが窃盗行為をした場合、Aには遺失物横領罪しか成立しないのでしょうか。

*もちろん、現実的に「死んでいると誤信した」ことを裁判で証明することは不可能でしょうね。仮に本試験で、
そのような問題が出た場合には、微妙に訴訟法を絡めた論述で結論として不当ではないとアピールすべきでしょうか?
(「Aが錯誤に陥いていたことを裁判で証明する限りにおいて、責任主義の見地からかかる結論も…」みたいな感じ)
それも考え過ぎですか。。

*一応、私の言う「現実的に妥当な結論」がどのようなものか、責任をもって具体例をアップしてみました。
どうぞ、具体的な答案を通して、未熟な点をご指摘・ご指導ください。論理的におかしいところもあるかと思います。

114 :裕子:04/03/17 21:46 ID:???
>>111
小問(2)について
38条2項と正面から抵触する結論だと思うのですが、同条はどう解釈されるんでしょうか。
ここをクリアしないと厳しい評価になるかもしれません。
もう少し事例が詳しければ、ごまかす余地も出てくるでしょうが、
これだけシンプルな問題だと、同条を回避するのは難しいですね。
私が思いついた理論構成は
>  しかし、乙はその妄想に近い願望が高まって、いわば積極的に錯誤に陥ってB女を殺害している本問において、
この「積極的に錯誤に陥って」という事情があれば、
原因において自由な行為の構成に持っていけないこともないかな、とも考えたりしたのですが、
どんな事情があればいいのか、正直思いつきません。
とくに何も具体的事情がかかれてない本問では厳しいですね…

>>113
> 死んでいると誤信したAが窃盗行為をした場合、Aには遺失物横領罪しか成立しないのでしょうか。
38条2項によるとそうならざるを得ない(もしくは無罪)と思います。

> *もちろん、現実的に「死んでいると誤信した」ことを裁判で証明することは不可能でしょうね。仮に本試験で、
> そのような問題が出た場合には、微妙に訴訟法を絡めた論述で結論として不当ではないとアピールすべきでしょうか?
> (「Aが錯誤に陥いていたことを裁判で証明する限りにおいて、責任主義の見地からかかる結論も…」みたいな感じ)
事実が問題に書かれている限り、「ありえない」と思っても、それは所与の前提として考えざるを得ないでしょうね。
まあ、仕方がないとこでしょう。

115 :131:04/03/18 00:52 ID:???
こんばんは。
>>109-113自らの理解の浅さを恐れずにコメントさせていただきます。
・一2…法益関係的錯誤というキーワードは唐突かなという印象です。文意は通じるので
>これに対し-という部分で対比するといいかと思いました。

・二…裕子さんが指摘されるように、そもそも199条の故意がない場面なので
    >殺人の故意が阻却されるということになるはずであるが、
   というときの阻却されるべき故意があるか疑問です。
   同意殺人にとどまるのが不当だという価値判断はアリだと思うので、
    >具体的ケースに応じて行為者の故意を阻却するものか否かを厳格に判断すべきである。
   「厳格な」判断基準を立てておけば38条2項を言い逃れできる余地もあるでしょうか。
   具体的にはちょっと考え付かないですが、考え違いを承知で規範立てするとすれば、
   @被害者の真意の程度A真意を誤信すべき客観的状況B行為者の状況・当初の意図
   などを総合考慮して、以前から行為者に殺意があったといいうるのであれば同意アリと誤信した後においても
   なお未必の抽象的故意があるとか(胡散臭い規範ですいません)。

> 死んでいると誤信したAが窃盗行為をした場合、Aには遺失物横領罪しか成立しないのでしょうか。
これにやや関連して、死者の占有の疑問点があるのですが、
・Aが死者→遺失物横領(占有なし)
・Aが生者→遺失物横領(38条2項・法定的符合説)
として、前者でA殺害者が時間的場所的に密接な窃取をなした場合、客観的に占有侵害が認められますよね。
この場合、窃盗の故意に法律の錯誤があるにすぎないのか(客観的には占有侵害あるので、死者との誤信は事実認識に影響しない)、
それとも遺失物横領の故意しかないのかです。
認定の問題にすぎないのかもしれませんが、よろしければみなさんのご意見を賜りたく。。

116 :30:04/03/18 08:15 ID:???
>>109-113
おはようございます。問題選択のセンスの良さに、本当に感心します。前回の復習をしつつ、総論の
残りの問題をこなし、さらに、総論と各論の融合をする。おまけに予想論点だし。

>小問(1)
欺罔に基づく承諾の問題ですね。承諾の有効性が問題(位置づけは、「真意に基づく」)なので、これ
を明確にした方が良いような気がします。
なお、判例の立場に立って、「自殺」ではなく殺人とする場合には、殺人罪の実行行為性の有無も認定
しなければならない、という点が重要、と。つまり、そのファクターは、(1)心中を申し出たのは誰か、
(2)毒を準備したのは誰か、(3)実際に口に入れたのは誰か、という点(仙台高判昭27.9.15)、と。
これは専ら自分の確認事項です。

>小問(2)
抽象的事実の錯誤の問題から逃げられるかどうかは分かりませんが、殺人罪にしたいのなら、同意殺人
罪において、被害者の同意に対する認識は必要だという立場に立たないとダメなはず。そして、同意殺
人罪は成立しないとして、殺人罪の実行行為性の検討ですが、ここでは不能犯における具体的危険説を
前提にする必要があるかと思います。
以上の立場は、大谷各論(第2版)の立場です。今は改説されていますけど。

ただ、ここの論点は、詰めて考えると実は、凄い難問なんですよ。まだ検討すべき点があります。学者
さんも矛盾しているのでは?と言われている程の論点です。昔、口述で聞かれたことがあります。です
から、普通に書いた方が無難です。論理矛盾の可能性が大きいです。


117 :裕子:04/03/18 09:11 ID:???
>>115
> この場合、窃盗の故意に法律の錯誤があるにすぎないのか(客観的には占有侵害あるので、死者との誤信は事実認識に影響しない)、
> それとも遺失物横領の故意しかないのかです。
どういう事例を想定されてるのか、よくわからないので、
もう少し説明いただけないでしょうか。

118 :裕子:04/03/18 09:13 ID:???
>>116
> >小問(2)
> 抽象的事実の錯誤の問題から逃げられるかどうかは分かりませんが、殺人罪にしたいのなら、同意殺人
> 罪において、被害者の同意に対する認識は必要だという立場に立たないとダメなはず。そして、同意殺
> 人罪は成立しないとして、殺人罪の実行行為性の検討ですが、ここでは不能犯における具体的危険説を
> 前提にする必要があるかと思います。
これって、客観同意殺・主観殺人の場合ではないですかね。(本問と逆)

119 :30:04/03/18 09:20 ID:???
>>118
あ、ホントだ。読み間違えてる。恥ずかし〜。ないのにあると思った場合だから、
38条2項ですね。>>114で38条2項ってあるから気付くべきだった。

120 :30:04/03/18 09:55 ID:???
なら、ちょっと立て直して。
この場合ですが、38条2項の問題は、客観的構成要件の問題であるとする見方が有力ですよね。
河童さんは、この立場によっているんですよね。

で、ここで同意殺人罪において承諾の認識が必要かどうかという点において、必要でないとする
立場に立つとどうなるのでしょうか?実は、ここにおいて殺人罪になってしまうのでは?という
疑問を出した人がいます。

>202条後段
 客観面  殺す行為   嘱託・承諾の存在
 主観面  殺人の故意 (嘱託・承諾の存在の認識)

で、本問のような場面ですが、
 客観面  殺す行為
 主観面  殺人の故意 (嘱託・承諾の存在の認識)

こう考えると、実は、主観面で故意が認められるか、という問題になり、錯誤を問題にすること
なく、殺人罪が成立する、と。なお、承諾の存在の認識は、主観的正当化要素なので、これを否
定する結果無価値論の立場だとどうなるのでしょうか?

では、逆に、認識必要説だとどうなるか。主観面の方が超過してますが、この立場ですと、殺人
の範囲で重なり合ってしまい、やはり殺人罪になってしまうのでは?と。

ちょっと、立論が変な感じがしますよね。1度見たら忘れてもらいたい話なんですが、頭の体操
を兼ねたお遊びということで。

そこで、話が戻りますが、ここは厳密には論じられないところだと思うんですよね。
ですから、単純に抽象的事実の錯誤として論じた方がよいかと思いますよ。では。

121 :河童:04/03/18 10:10 ID:???
おはようございます。みなさん、一晩で大変多くのご指摘ありがとうございます。

>(2)同意殺人の成立には「嘱託」あるいは「承諾」(202条)が必要であるところ、「刺し殺してもいいよ」
>というB女の冗談の言葉は自己の死に対する「認容」とは評価できても、「嘱託」とは評価できない。
>また、乙の申込に対する「承諾」があったわけでもないため、本問では同意殺人の成立要件を欠くというべき

私も裕子さんのおっしゃるように最初は「原因において自由な錯誤」みたいなものを考えたわけですが、
本問ではむしろ「違法性の錯誤」として取り扱うほうが、殺人罪を成立させるためにはいいと思いました。
すなわち、乙は「同意殺人」の要件を満たしていると主観的には思ったが、客観的にはなかった。
なぜなら、乙はBの「刺し殺してもいいよ」という言葉で、「同意殺人」の要件が備わったと誤信したが、
実際にはBの「刺し殺してもいいよ」という言葉のみでは、「同意殺人」の要件は揃わないからです。
結局、Bは純主観的にも202条の要件は認識しておらず、199条の認識しかなかったことになります。

もし仮に、乙がBが「刺し殺してよ」と言ったと誤信したならば、事実の錯誤でやむを得ないかもしれませんが。
(もっとも、本問の状況的に確認もせずに刺し殺したら、私は断固殺人罪を成立させるつもりです)

刑法においては特に判例はときに難解な場面を理屈抜きの「力技」で切り抜けていますね。
学者さんがあとでイロイロと解釈して、刑法の解釈が発展し、あまりに苦しいと新法ができたりします。
今回はあえて違法性の錯誤にソフトランディングしないで、「38条2項」をぶっとばせ、と思ったのです。

もっとも、違法性の錯誤論も理論的におかしいですか…? こじつけるには悪くないと思ったのですが。

122 :河童:04/03/18 10:21 ID:???
30さん、殺人罪の成立に苦心ありがとうございます。

>ここは厳密には論じられないところだと思うんですよね。
いつもの調子ながら、私は厳密に論じなくてもいいと思っています。

とにかく、本問で「殺人罪」を成立させないという結論ばかりの答案のなかで、
「同意殺人」成立を世間の常識の立場からおおいに批判して「殺人罪」を成立させ、かつ、
採点者に、コイツはよく自分の頭を使っているな、と思わせる答案を作成できれば、
刑法はかなり武器になると勝手に思い込んでいます。採点者の好みにもよりましょうが。
そのための練習をここでさせていただいているわけでして。
理論がボロクソだと法律を知らないアホだと思われてしまいますからね…。

123 :30:04/03/18 16:13 ID:???
>>121(河童さん)
>もっとも、違法性の錯誤論も理論的におかしいですか…? 
>こじつけるには悪くないと思ったのですが。
傷害罪と被害者の承諾の問題において、同意の有無について錯誤がある場合には、
被害者の同意を違法性阻却事由と捉える立場から、違法性阻却事由の錯誤(正当化
事情の錯誤)と考える余地があると思います。
ただ、この場合の嘱託・同意の存在というのは、構成要件該当事実だと思いますの
で、構成要件的事実の錯誤の問題として捉えるべきだと思っていたんですが。
だからこそ、38条2項で論じているように思いますけど。どうなんでしょうか?
違っていたらごめんなさい。

>>115後段(131さん)
わたしも、ちょっと何を論じているのかが分からなかったので、ちょっとだけ説明
を加えて貰えませんか?

124 :裕子:04/03/18 17:57 ID:???
>>121
> すなわち、乙は「同意殺人」の要件を満たしていると主観的には思ったが、客観的にはなかった。
> なぜなら、乙はBの「刺し殺してもいいよ」という言葉で、「同意殺人」の要件が備わったと誤信したが、
> 実際にはBの「刺し殺してもいいよ」という言葉のみでは、「同意殺人」の要件は揃わないからです。
> 結局、Bは純主観的にも202条の要件は認識しておらず、199条の認識しかなかったことになります。
うーん。よくわかりません。
現実に生じた事実が該当する構成要件は殺人罪、
行為者が認識していた事実が該当する構成要件は同意殺人罪、
問題文からはこうとしか読めないと思うんですよ。
> すなわち、乙は「同意殺人」の要件を満たしていると主観的には思ったが、客観的にはなかった。
ここもそのことを確認しておられるのだと思います。で、次に
> なぜなら、乙はBの「刺し殺してもいいよ」という言葉で、「同意殺人」の要件が備わったと誤信したが、
これも前述の問題文の客観的な分析と合致すると思います。問題は次からです。
> 実際にはBの「刺し殺してもいいよ」という言葉のみでは、「同意殺人」の要件は揃わないからです。
これも客観的にはそのとおりです。しかし、内心は違うんですよね。よって
> 結局、Bは純主観的にも202条の要件は認識しておらず、199条の認識しかなかったことになります。
なぜこうなるかがわからないんです。
客観が殺人なのは明らかですよね。その明らかさが、なぜ行為者の主観まで変えることになるのか、
その点が河童さんの論述からは不明なんです。
問題文を読む限り、同意があったと認識していたとしか読みようがない
→同意殺の故意しかない。と条文上はならざるを得ないと思うのです。
「違法性の錯誤」の問題はここをクリアしてからですよね。


125 :河童:04/03/18 17:59 ID:???
>傷害罪と被害者の承諾の問題において、同意の有無について錯誤がある場合には、
>被害者の同意を違法性阻却事由と捉える立場から、違法性阻却事由の錯誤(正当化
>事情の錯誤)と考える余地があると思います。
この観点からは答案で触れたとおり、同意殺人自体が違法なので、過剰誤想防衛に類似するかな、と。
そうだとすれば、殺人罪も問えるかな、と考えたわけですけど。

>ただ、この場合の嘱託・同意の存在というのは、構成要件該当事実だと思いますの
>で、構成要件的事実の錯誤の問題として捉えるべきだと思っていたんですが。
そして、私は構成要件的事実の錯誤でなく、あくまで構成要件的事実の評価の錯誤であって、
むしろ規範的構成要件要素(でしたっけ?公務執行妨害罪における公務の適法性等)の錯誤
に類似するのではないか、とも考えたんですね。

どうなんでしょうか?

126 :30:04/03/18 19:06 ID:???
>>125
う〜ん。河童さんは、職務の適法性の問題と同じように捉えるわけですか。それで、
「評価の誤認」とみるんですか?同意がないのにあると思っていた場合ですから、
やはり「基礎事実の誤認」とみる方が素直な気がします。

127 :河童:04/03/18 23:21 ID:???
職務の適法性でなく、作為義務の錯誤(父親が溺れている子供を見て助ける作為義務はないと思った)
のほうがイメージ的に近いような気がしますが、どっちもどっちですね。

>問題文を読む限り、同意があったと認識していたとしか読みようがない(裕子さん)
>やはり「基礎事実の誤認」とみる方が素直な気がします。(30さん)

それは私もまったく否定しません。その上で殺人罪を成立させようと思うのです。
これは(あくまでこういう問題が出たらの)私の個人的な戦略ですので、
みなさんはあまりご自分のスタンスを崩されないように(崩すはずもないですよね)。

最終的には、とにかく同意殺人が成立するための有効な同意がなく、
殺人罪の故意は「同意なく人を殺すこと」でなく、「人を殺すこと」なので、
乙は殺人罪の故意に欠けるところはないみたいな感じでいきます。

ところで、裕子さんや30さんの見解を徹底すれば、本問(1)の甲にしても、
「自殺教唆罪」の故意しかないから「自殺教唆罪」しか成立しない、ってことになりませんか?

128 :河童:04/03/18 23:59 ID:???
いま風呂に入ってきて、その間に決めました。
同じことの繰り返しに過ぎませんが、やはり、

乙が同意殺人の規定を知っていた場合→「刺し殺してもいいよ」というBの言葉を、
202条の「同意」「嘱託」と評価した乙の錯誤は、違法性の錯誤にすぎません。
乙が同意殺人の規定を知らなかった場合→「刺し殺してもいいよ」というBの言葉は、
客観的に202条の「同意」「嘱託」と評価できず、また乙に何らの錯誤はない以上、
人を殺そうと思って殺したわけですから殺人罪が成立します。

もし本問で乙が「殺人罪の同意があった」と錯誤したとするならば、
すなわち事前に乙のB女に対する「刺し殺してもいいですか?」の申込が一切ないにもかかわらず、
「刺し殺してもいいよ」といういきなりのB女の冗談を殺人の同意があったと錯誤したのなら、
それは乙が内心と現実の区別がつかない人間で、むしろ乙の責任能力(心神喪失等)の問題の気もします。

本問の場合は、答案の理論(と呼べるか?)はやめて「違法性の錯誤」でいきます。
もし問題文でB女の言葉が「刺し殺してください」となっていたら、答案の「理論」でいきます。
いろいろご指摘いただいて、とりあえずの決心が着きました。どうもありがとうございました。

129 :裕子:04/03/19 00:20 ID:???
現実の裁判では、被告人が「同意があったはず」と発言しただけで、
被告人の内心(同意ありとの認識をもっっていた)が認定されるわけではないでしょう。
さまざまな事情を考慮して、被告人の内心を探求するはずです。
例えば、そのときの会話の状況(文脈)、その会話に至るまでの経緯、その後の被告人の行動、
被告人や被害者の性格等々あらゆる事情が考慮されるはずです。
その意味では現実には極めて微妙な判断になるはずです。
現実に同意があると思うことは非常にまれでしょうから。
しかし、本問ではその検討の過程はすっ飛ばしてるわけですよね。全く書いてない。
で、その結果だけをを引用してくれと問題文に書いてるわけです。
そしてその結果は規範的評価が働きようがない「本気にした」ってことだけです。
これはだれが見ても「同意があった」と評価するしかない。
規範的構成要件の認識の問題とは質が違うと思います。

逆に言えば、「本気」にしたとの認定も客観的に様々な事情を評価した結果であるから、
そう認定されるにふさわしい事情があったとの推測が働きます。
例えば、日ごろから悲惨な貧しい暮らしを送っていて、常に心中をしようという会話がなされていたとか、
事前にいざとなったら殺してくれと約束していたとか、そういう事情があったのかもしれません。
生活につかれて、昔の楽しかった思い出を話しつつ、その会話が途切れたときに、
冗談で「刺し殺してもいいよ」といったのかもしれません。
(判例の事件はこんな感じですね。しかも追死を試みたが死にきれなかった)
それでも、同意殺とするのは「世間の常識」に反しているでしょうか。
「本気」にするのも止むを得ない客観的事情があるのにも関わらず、
「本気」になったことがけしからんとして殺人罪にする方が法の常識に合致しないのではという疑問があります。
さらに裏をかけば、仮にこのような本気にするのにふさわしい事情がないにもかかわらず、
本当に本気になったのなら、責任能力がないのではという推定が働きます。

130 :裕子:04/03/19 00:24 ID:???
>>128
なんか内容が一部かぶってしまいましたね。失礼。

>>127
> ところで、裕子さんや30さんの見解を徹底すれば、本問(1)の甲にしても、
> 「自殺教唆罪」の故意しかないから「自殺教唆罪」しか成立しない、ってことになりませんか?
本問では客観と主観のズレはありませんよね。
客観的な事実が殺人ならば、主観も殺人のはずです。
ご指摘のようにはならないと思います。

131 :河童:04/03/19 00:38 ID:???
裕子さんのおっしゃることがよくわかりました。

結局、私は問題文になにも触れられていないがゆえに、
乙という男が勝手に日常の冗談を錯誤したと決めつけているわけですが、
裕子さんはそのようには決めつけていないということですね。
すなわち、問題文に書いてあること以外は極力持ち出さない主義とお見受けします。
(それが当然なでしょうね)

私はこういうスカスカな問題文の場合に、純粋に問題文のみを読まない人間ですから…。
もっとも、最近の本試験では長文でキッチリ事件の背景も書き込まれているため、
余計な想像力を働かせる場面は極端に減っているとは思いますが。

結局、→
「本問ではBが乙に対して「刺し殺してもいいよ」と冗談で言ったのが、
客観的状況としても冗談にしかとれない場合と思われる」
ということを一言言及しておけば、なんとか違法性の錯誤でもいけないことはないと。

また問題文の受け止め方論・答案の書き方論になってしまいそうなので、私めはこのへんで。
裕子さん、択一の近づく時期に大変ご丁寧にどうもありがとうございました。

132 :河童:04/03/19 00:44 ID:???
失礼。すぐ上の私のレス。
>結局、私は問題文になにも触れられていないがゆえに、
>乙という男が勝手に日常の冗談を錯誤したと決めつけているわけですが、
>裕子さんはそのようには決めつけていないということですね。
>すなわち、問題文に書いてあること以外は極力持ち出さない主義とお見受けします。
(それが当然なでしょうね)

ちょっと語弊がありますね。
裕子さんは問題文に書いてあることのみを確固たる固定された事実として受け止めるということですね。
それは裕子さんに限らず、まともな勝負をしようとなされている方はみなさん、そうなのでしょう。

私はどうも違うようです…。
今年失敗したら来年は基礎と論理で戦える戦力が整うでしょうし、改めようと思っています。

133 :30:04/03/19 00:44 ID:???
>>127-128
なるほど。河童さんの考えをある程度理解しました。つまり、単純に同意があったと認識していると
考えるのはどうなのか、ということですね。
つまり、「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして」という認識であれば、
一般人ならば、(殺人罪の)違法性の意識を喚起する可能性があるといえるのではないかということ
ですよね。このように考えることによって、問題とされる領域が「法律の錯誤」のテリトリーになる
ということですね。これを>>126に引き直すと「評価の誤認」だということになりましょうか。
そうだとしますと、仮に、河童さんの立論でいかれるのならば、事実の錯誤か法律の錯誤かを論じる
ことになりますね。その上で、38条3項の検討になる、と。

わたくしは恐くて書けませんが、ただ、ちょっと考えておく余地はありそうなので、検討させて下さ
い。
なお、>>127の点について、お答えしておきますが、ここは、同意殺人罪と自殺教唆罪との構造が違
っているという点が看過できないと考えます。つまり、

 自殺教唆罪  教唆行為  ----→  自殺
 同意殺人罪  承諾を得て ----→  殺人

なので、先ほどの積み木の話>>120が使えないと思いますよ。
また、欺罔による心中の場面では、抽象的事実の錯誤は発生しませんから、問題はなかろうかと思い
ます。法益関係的錯誤等の理論は承諾の有効性を決するための議論であって、故意の議論ではないと
思いますよ。では。

134 :131:04/03/19 00:59 ID:???
>>117>>123
意味不明ですいませんでした…。
念頭に置いていたのは以下のような事例です(塾の公開答練での出題)。

 「甲は、以前交際していたA女がしつこくつきまとうのを疎ましく思い、A女を殺してしまおうと考え、
同女を山登りに誘い出して山中において殺害した。その直後に甲は、A女が高価な指輪を身につけている
ことに気付き、A女から指輪を外して自分のポケットにしまい、そのまま下山した。その三日後、甲は、
一人暮らしであったA女宅に侵入し、金品を盗もうと考え、A女宅に向かったが、勘違いしてA女宅の
隣のB宅に侵入し、現金50万円と宝石類を持ち去った。」

>>115の疑問というのは、この事例でいう窃盗についてではなくて、住居侵入についてです。
指輪の窃取行為については甲との関係では生前の占有を保護し、窃盗罪を成立させるとして、
B宅に侵入した行為については、普通は死者の住居に侵入する認識では「人の住居」に侵入する認識がなく、
結局、住居侵入罪の故意なしとすると思います。

これに対し、死者の占有とパラレルに、死者の生前の住居権が甲との関係では保護されると解した場合、
甲には「死者の住居」への侵入の認識しかないとしても、そこには客観=甲との関係で保護される住居権侵害の認識ある以上、
Aの住居に対する住居侵入の故意があり、たとえ甲が「死者の住居」への侵入だから住居侵入罪は成立しないと考えていたとしても、
それは評価の誤信、すなわち法律の錯誤があるにとどまるのではないかと考えた次第です。
(その後はB宅侵入への錯誤論を展開することになります。)
以上の構成で答案を書いたところ、「住居侵入の故意なしと認定せよ」と添削されたので、
自分の故意や法律の錯誤への理解が誤っているのかと危惧しています。やはりおかしいのでしょうか?

>>河童さん
議論のお邪魔をしてすみません。。

135 :30:04/03/19 02:07 ID:???
>>134
解説を知らないので、激しく批判的に検討して下さい。
いわゆる死者の占有の論点については、ご存知のとおり。

次に、窃盗罪の「占有」にかんして、これは福岡高判昭43.6.14(窃盗罪の成立を肯定)。事実上の支配の存否
の検討ですよね。屋内においては排他的支配が強い、と。『思考方法』p.82以下。

さて、本題の死亡後の住居侵入ですが(同p.314以下)、新住居権説からは「人」の住居ではなく、住居侵入罪
は成立しませんよね。この立場ならば、B宅への侵入については、死者の住居に侵入する認識で、「人」の住居
へと侵入した場合になると思います。つまり、住居侵入の故意がなく、不成立と。

これに対し、大塚仁先生などは「私生活の平穏には、死者の占有がもっぱら殺害者との関係で論じられるのとは
異なり、より広範な行為者を対象とする保護の必要がある」として住居侵入罪を認めています。この立場からす
ると、B宅への侵入については、「人」の住居に侵入する認識ということですから、方法の錯誤ということにな
りましょうか。「甲が「死者の住居」への侵入だから住居侵入罪は成立しないと考えていた」という点は、評価
の誤信ということですよね。これは「死者の占有」を主観面で論じる問題のパターンと同じですから(あれだと、
窃盗という点で一致するという流れで書く場合ですが)、合っていると思いますよね。
なお、裁判例も死者の住居も「人」の住居としてますよね。東京高判昭57.1.21。

このように考えるのであれば、131さんの流れで合っているような。ここは塾の立場がどの立場なのかによって
採点者がこれに沿って採点したとも考えられますけど。塾(他の予備校でも同じ)の添削では仕方がないのかも
しれませんけど。ただ、大塚説は今の採点者に通じるのかな?他の方の意見を求めます。

これ、結構、昔からある問題ですけど、「死者の占有」の串刺し比較でしたでしょうか。

>補足
あれ、こう考えると、裁判例って矛盾していますね。東京高判昭57.1.21よりも新住居権説の最高が後だから、
変更されるのかな?よく分かりません。ではまた。

136 :131:04/03/19 04:53 ID:???
>>135
30さん、ありがとうございます。
>東京高判昭57.1.21
を念頭に置いていたのですが、判例変更との関係にはちょっと…考え至りませんでした。

採点者の方にも
>「死者の占有」を主観面で論じる問題のパターンと同じ
という点は承知していただけたようで(解説にも指摘があります)、問題は法律の錯誤を論じた点にあるようです。
というのも、法律の錯誤を論じるのであれば、死者の占有(前段)でも死者の住居権(とでもいいますか、後段)でも
同様に問題となるところ、私の場合は後段でしか触れていなかったからです。
問題文からは甲が評価の誤信に陥っていたという事情が読み取れないわけですから、
一方で触れ、もう一方で触れないのはまさに>純粋に問題文のみを読まないということになりますよね。
前段では当然に窃盗の故意ありとしておきながら、矛盾する付加事情を読み込んでいました。猛省。

>「死者の占有」の串刺し比較
が主眼だったようです。住居侵入はさらりと故意なしで流しておけばよかったと後で思いました…。
自戒を込めて答案をうpしておこうかと思います。スレ汚しご容赦下さい。

137 :131:04/03/19 04:54 ID:???
>>134の事案における甲の罪責について
1 A女を山中において殺害した行為
   甲は、「A女を殺してしまおう」という殺意(199条・38条1項)の下、同「人を殺し」ているので、
  殺人罪(199条)が成立する。
2 A女から指輪を外して自分のポケットにしまった行為
(1)まず、甲はA女を殺害した「直後に」右指輪の存在に気付き、事後的に奪取意思を生ぜしめている以上、
  強盗罪(236条1項)は成立しない。
   なぜなら、同罪の処罰根拠は、暴行・脅迫を手段として財物奪取をなす点に、生命・身体に対する類型的な
  高度の危険性がある点に存すると解するところ、事後的に奪取意思を生ぜしめたにすぎない場合にはかかる
  手段性を欠くので、同罪の処罰に値しないからである。
(2)としても、窃盗罪(235条)は成立しないか。
 ア 確かに、死者には占有の意思・事実が欠ける以上、占有が認められず、占有者の意思に反する占有侵害行為
  たる「窃取」をなし得ない以上、死者からの財物奪取については占有離脱物横領罪(254条)が成立するに
  すぎないのが原則である。
 イ しかし、被害者を死に至らしめた者との関係では、法益保護の観点から、死者が生前に有した占有がなお
  規範的に残存していると解すべき場合がある。
   そこで、自由保障との調和の見地から、@被害者を死に至らしめた者との関係では、A奪取行為が殺害行為と
  時間的・場所的に密接な場合になされている限りにおいて、かかる奪取行為が被害者の生前の占有をあらためて
  「窃取」したものと評価すべきと解する。
 ウ 本問では、甲は@Aを死に至らしめた者であり、かつ、指輪奪取行為は殺害現場たる「山中」で、殺害「直後」
  というA時間的・場所的に密接な場合になされている以上、生前の占有の「窃取」が認められる。
 エ また、甲は自己が「窃取」をなし得る者であるという事実につき認識ある以上、窃盗罪の故意(38条1項)
  に欠けるところもない。
(3)以上より、窃盗罪が成立する。

138 :131:04/03/19 04:55 ID:???
3 B宅に侵入した行為
(1)右の行為は「金品を盗もう」という意図でなされているため、B宅の住居権者の意思に反する立ち入りに
  あたり、住居侵入罪(130条前段)の客観的構成要件に該当する。
(2)もっとも、甲はA女宅に侵入するつもりのところを、勘違いによりB宅に侵入しているため、構成要件的故意
  (同条段・38条1項)が阻却されるのではないか。
 ア まず、甲の認識対象として、客観的にA宅の住居権が存在するといえるか、「一人暮らし」のA宅における
  本来の住居権者たるAはすでに死亡していることから問題となる。
   この点、占有と住居権とは内容を異にする概念ではあるものの、死者にとって事実上観念し得ない概念である
  という点においては共通するものと考える。
   そこで、住居権が住居という、占有に比して通常移転を観念しにくいものに対する権利であるという特性を
  加味し、前述の規範@Aに加え、B殺害者と被害者との関係、C住居の態様等を総合考慮し、社会通念上
  被害者の生前の支配がなお継続されていると評価される限りにおいて、生前の住居権が保護に値すると解する。
 イ 本問では、甲は@Aを死に至らしめた者ではあるが、殺害から三日も後に、殺害現場たる「山中」から程遠い
  民間住宅においてなされた侵入である以上、A時間的・場所的に密接であるとはいいにくい。
   そうとしても、B甲はAと以前交際していた以上、まったくの他人の住居に侵入する場合に比して無断侵入に
  ついての反規範意識が生じにくいともいえ、通常より住居侵入に至る客観的危険性が高いと思われる。
   さらに、CA女は「一人暮らし」であるところ、三日程度家を無人にすることは普段の生活からしてありがち
  である以上、住居についての生活状況は変化していない。
   以上を総合考慮すると、社会通念上住居に対するAの生前の支配がなお継続されていると評価されるため、
  A宅の生前の住居権はなお保護に値する。
   したがって、甲がこれらの事実を認識している以上、A女宅への住居侵入の故意に欠けるところはない。

139 :131:04/03/19 04:56 ID:???
 ウ としても、甲はB宅に侵入しているため、同一構成要件内での具体的事実の錯誤があるが、これによって
  B宅への住居侵入の故意は阻却されないか。
   思うに、故意責任の本質は反規範的人格態度に対する責任非難にあるところ、およそ同一構成要件内にある
  事実についての認識があれば、規範に直面でき、責任非難が可能であるし、また、構成要件内で故意を抽象化
  する以上、故意の対象の個数は問題とすべきでない。
   本問では、「一人暮らし」の「A宅」への住居侵入の事実を認識していた以上、およそ住居侵入の規範に直面
  しており、住居権者が複数存在したとしても「B宅」への住居侵入の故意は阻却されない。
(3)以上より、住居侵入罪が成立する。
4 B宅から現金50万円と宝石類を持ち去った行為
(1)右の行為は、窃盗罪の客観的構成要件に該当する。
   もっとも、前述の@AのみでAの生前の占有が保護に値するかを検討すると、これは否定される。
   そこで、甲にはA女の生前の占有を侵害する認識はなく、窃盗罪の故意は阻却される。
(2)もっとも、甲には占有離脱物横領罪(254条)の故意があるため、同罪が成立しないか。
   思うに、法益保護の観点から構成要件該当性の有無は実質的に判断すべきであり、保護法益・行為態様が
  具体的に重なり合う限度で、軽い故意に応じた客観的構成要件の充足を認めるべきである。
   本問では、窃盗罪と占有離脱物横領罪とは財産権という保護法益・財物領得という行為態様が具体的に
  重なり合うため、軽い占有離脱物横領の限度で客観的構成要件の充足が認められる。
(3)よって、占有離脱物横領罪が成立する。
5 罪数
   住居侵入罪と占有離脱物横領罪とは牽連犯(54条1項後段)となり、それ以外は併合罪(45条前段)となる。

※ 法律の錯誤は2(2)エ、3(2)イで問題となると考えていました。
※ スレ汚し申し訳ありません。

140 :裕子:04/03/19 09:11 ID:???
>>131
> 「本問ではBが乙に対して「刺し殺してもいいよ」と冗談で言ったのが、
> 客観的状況としても冗談にしかとれない場合と思われる」
こういう状況で「本気にした」と認定されることがありえるのかという疑問はありますが、
それはおくとして、やはり「本気にした」と問題文にある以上、同意殺の故意になりそうです。
ただ、前田説なら、殺人の故意ありと認定するのも不可能ではないのかな…
前田説よく知らないんで、正確にはわかりませんが、その余地はでてくるかも。

>>133
> つまり、「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして」という認識であれば、
> 一般人ならば、(殺人罪の)違法性の意識を喚起する可能性があるといえるのではないかということ
> ですよね。
「『本気にして』という認識」のところがちょっとよくわかりません。
例えば次のような問題文だったら、法律の錯誤の問題になるでしょうか。
もちろん殺人罪になると思います。
「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を、
冗談だと薄々わかっていたものの「そのような発言をした者は殺されてもやむを得ない(あるいは
「そんな発言を聞かされた者が殺しても罪は軽いだろう」)と思い、刺し殺した」

>>130
> 客観的な事実が殺人ならば、主観も殺人のはずです。
これよりも次のように説明すべきでした。
「客観的な事実が「自殺教唆」ならば、主観も「自殺教唆」のはずです。」

141 :30:04/03/19 09:50 ID:???
>>140 法律の錯誤にはなりませんよ。

142 :30:04/03/19 10:21 ID:???
>>140
あっと、誤解を与えそう。あてはめの錯誤で、相当の理由がない場合だと思ったんですが。
法律の錯誤の「問題」にはなりますが。意図がよく分かりませんけど。

143 :30:04/03/19 10:52 ID:???
>>140
う〜ん。分からなくなてきた。違法性阻却事由の要件や限界の解釈を誤った場合かも。
これは行為の違法性自体に関する錯誤であるから、法律の錯誤にあたるはず。
朝食後は、頭が働かない。困った。

144 :河童:04/03/19 11:02 ID:???
>>140
最終的に、私は問題文の文言のせいにしておきます。
刑法問題としての意識の低さがゴチャゴチャの原因ということで。
裕子さんのように明快に(法律問題的に?)読み取れば、おっしゃるとおりです。
本試験では過去問を見ても、本問のような問題文は重要論点においては見ませんので、
あまりこだわりすぎないことにします。

>>137
131さん、ちょうど新しい素材が欲しかったところです。
私の知らなかった問題と論点で、非常に勉強になります。
願わくば、今後もお時間さえおありならイロイロな問題文と答案例を拝見したいものです。

*何も知らないで本試験でこの問題をみたら、住居侵入罪、少なくともBの住居における窃盗罪を
成立させようと散々頭を悩ませて、時間を浪費して自滅気味になっていたかもしれません。

それでも私は十分に準備して、例によって住居侵入罪+窃盗罪の両者を成立させたいところですね。
たぶん現実の裁判でも両方とも成立させると思います(またいい加減なことを言っているかもしれませんが…)
「現実的に妥当な結論」は両方とも成立だと思うのですが…。

>屋内においては排他的支配が強い
ところで、30さんのこのご指摘は、死者の住居内の財物についてのことでしょうか?

145 :河童:04/03/19 11:04 ID:???
*常識的に、一人暮らしの人間が自然死して、その家には誰もいなくなったとしても、
3日後にそこに侵入して盗みを働けば、住居侵入罪+窃盗罪でしょう。
むしろ、自分で殺しておいてその被害者の家に盗みに入るというのは、それより当罰性がよほど強いと思います。
*すなわち、具体的には、何も知らない泥棒が一軒家に盗みに入って盗みを働いたという場面を想定して、
実は三日前に独居していた老人がひっそりと風呂場で死んでいたという場合、
住居侵入罪は不能犯、占有離脱物横領罪のみが成立するという結論は明らかに不当です。
これは死亡した老人に相続人がいれば、間違いないはずでしょう。
問題は、「一人暮らしのA」という問題文から相続人の存在を前提にしてよいかですね。
これは、ここのところ裕子さんと私がだいぶ論じ合ってきました(?)が、
私は人が死亡した場合、相続人がないケースのほうがごくごく稀だと思うので、一言触れてそれを前提にします。
(あるいは、相続人がいなくても住居や財物の他人性は異ならないようにも思えますが…これは無理がありますか…)

*以下、財物の占有について。
刑法の保護法益たる「占有」の領域が、民法のそれより狭いのは知っていますが、
住居内という排他的支配の強い場所における財物の占有については、相続人が即承継するとしてよいのでは。
刑法の規定の文言的にも「占有を離れた他人の者」というよりは「他人の財物を窃取した」といえると思います。

このように考えると、理論的には被害者でなく、相続人の占有や住居権を問題とすべきですが、
実質的には、居住状況が変わっていないなど、被害者の占有を基準に考える方向性になるというのが悩みどころです。

146 :河童:04/03/19 11:13 ID:???
念のために極論しておきますが、
本問で窃盗罪が成立しないとした場合、

いまにも寿命が尽きそうな金持ちな老人が一人暮しをしていていた場合に、
隣の住人が老人が死ぬのを心待ちにしていて、その財産を付け狙っており、
死んだとわかった瞬間に、老人宅に侵入して財産を荒らした場合にも、
住居侵入罪や窃盗罪が成立しないことになります。

これはどうにも不当な結論で、相続人がいる場合には、なおさらですね。

本問におけるいまのところの私の問題意識は、
保護法益の帰属主体は死亡者か相続人か、ということです。

147 :30:04/03/19 11:26 ID:???
>>140(前段)
>>133の書き込みが不正確だったので、ちょっと混乱させたようです。
「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして刺殺した」場合であれば、
一般人ならば、(殺人罪の)違法性の意識を喚起する可能性がある程度の事実の認識がある
ともいいうるのではないか、ということです。(なお、前田だと()内が必要ですが、書研
なら必要がありません。だから、書研説の方が構成要件的故意は認められる可能性が高いと
思われます。)つまり、>>131の理論的な説明にすぎません。

具体的には、>>131のように、
> 「本問ではBが乙に対して「刺し殺してもいいよ」と冗談で言ったのが、
> 客観的状況としても冗談にしかとれない場合と思われる」
ような場合です。わたくしのイメージした例は(今どきあり得ないかも?)、以下の通り。
一般に、愛憎の縺れがあり、女性の側が、「もう殺してちょうだい。どうにでもして。」と
言ったとしましょう。本気ではなく、男の気を引きたいと思っていたような場面です。この
とき、男がじゃあこれ幸いと女を殺し、裁判で、殺人罪に問われたところ、これは「女の同
意があったから、同意殺人です」と言いうるものなのでしょうか。普通に殺人とすべきよう
な場面かと思うんですよ。感覚的には。河童さんは、こんな感じで考えているはずです。

ただ、本問の事案からここまで読み込むのはちょっとまずいかもしれません。
河童さん、ちょっと想像力が凄すぎるかも。

148 :30:04/03/19 11:30 ID:???
>>144 そうです。A宅内の財物です。

149 :30:04/03/19 11:57 ID:???
>>145
>住居内という排他的支配の強い場所における財物の占有については、
>相続人が即承継するとしてよいのでは。
これはまずいです。以下が通常の解釈だと思います。すなわち、
「相続による占有の承継ということも認められないのである」(西田p.141)
ここは即死しますよ。

150 :裕子:04/03/19 13:15 ID:???
>>141-143
>>140中段は、本問では事実の錯誤にしかならないと思ったので、
仮に法律の錯誤になるとすればどんな事例かあげてみた、という趣旨です。

>>147
> 「B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして刺殺した」場合であれば、
> 一般人ならば、(殺人罪の)違法性の意識を喚起する可能性がある程度の事実の認識がある
> ともいいうるのではないか、ということです。
同意殺の違法性の意識の喚起の問題についてはどうなりますか。
ベン図にすれば、殺人の認識が同意殺の認識に包摂されるような形になるので、
殺人罪の違法性の意識の喚起だけ問題にするとへんなことになってしまいそうなのですが。

151 :30:04/03/19 15:08 ID:???
>>150
まあ、>>147は、わたくしが採用する立場ではないのですが、以下の記述は、あくまでも頭の体操
位のつもりで、気楽に読んでみて下さい。

同意殺人罪(202条後段)
 客観面 殺す行為  + 嘱託・承諾の存在
 主観面 殺人の認識 + 嘱託・承諾の存在の認識

このうちで、「嘱託・承諾の存在の認識」というのを違法性を打ち消す認識だと捉えることができる
と考えられないか、と。そうして、打ち消す認識が十分とはいえないのであれば、故意の違法性の意
識の喚起機能(提訴機能)により、殺人罪としての事実の認識があると考えられると思ったわけです。
何だか、全体の立論が変になってはいますが、即興なもので、あまり突っ込まれると、アウトでしょ
うけど。以上は、取り扱い危険です。念のため。

>>140中段
すごく悩みましたよw。法律の錯誤なのでしょうが、裕子さんは、あてはめの錯誤と捉えるのですか、
それとも、違法性阻却事由の錯誤のうちの、違法性阻却事由の要件や限界の解釈を誤った場合と考え
ているのでしょうか?答えをぜひ教えて下さい。

でもって、そろそろ次の問題の検討が進んでますので、こちらの方へ行きませんか?では。

152 :河童:04/03/19 19:39 ID:???
>B女が「刺し殺してもいいよ」と冗談でいった言葉を本気にして刺殺した場合

先の「同意」の問題に関して、私の問題文の読み方は、この「本気にして」の文言を捕まえて、
法律用語の「同意」があると誤信して、と読むのではなく、現実の言葉レベルの「本気にして」ととるわけです。
少し本題から外れた話になるので、ほんとに最後にしますが、
本試験で本問題文が出た場合、法律試験の問題文の読み方としては、
「法律用語の同意があったと誤信した」と読むのが「素直な読み方」・「明快な読み方」でしょうが、
これを小学校の国語の試験などで読むように「本気にして」をそのまま読めば、
私のような解釈も可能だと思います。このお話はこれでお終いにします。

占有の相続について。
>これはまずいです。以下が通常の解釈だと思います。すなわち、
>「相続による占有の承継ということも認められないのである」(西田p.141)
>ここは即死しますよ。
ご存知の通り、私は即死の危険もおそれぬ人間ですから。(今年は、です)
例えば、人のいない夜間における商業ビル内の財物の占有は誰にあるとすべきでしょうか?
所有権者が変わったら、あるいは現場の社員が変わったら、あるいはビルの管理人が変わったらどうなりましょう?
こじつけないといけないときには、あくまで住居内の財物に限定して、占有の相続承継も可能だと思います。

西田先生の本が言及しているのは、屋外の死体に付属する財物に関する占有についてでは?

153 :河童:04/03/19 23:41 ID:???
*なお、百選のP55に「一般人の立場からみて財物が外形上他人の支配を排除する状態にある場合には窃盗罪が成立する」
(野村稔)との記述がありますが、これはやはり死者の占有を保護すべきという考え方を前提にしていると考えられますよね。
この見解でも、死者の住居内の財物については、刑法的保護に値することになるますが。
これなら、住居内の財物については、正面から例外的に相続人なり生者の占有を認めたほうが、スッキリすると思いました。

154 :30:04/03/20 00:16 ID:???
>>152
西田同頁というのは、民法上の占有概念と刑法上の占有概念との比較の部分です。
(1)自己のためにする意思が不要、(2)代理人による占有を認めない、(3)相続によって
当然に移転しない、という点であり、より事実的(現実的)支配を意味する、と。

>例えば、人のいない夜間における商業ビル内の財物の占有は誰にあるとすべきでしょうか?
>所有権者が変わったら、あるいは現場の社員が変わったら、
>あるいはビルの管理人が変わったらどうなりましょう?
個々の社員の持ち物については、各人の占有があると認められるはずです。また、商業
ビル内のテナントの財物であれば、法人の代表者が占有(なお、観念的な存在である法
人は事実上の支配をなしえない、とするのが多いかと思います(大谷は反対))。更に、
置き忘れた物であれば、他人の事実的支配が推認できる場合にあたる(商業ビルの管理
者が占有すると思います。ただ、占有補助者とみられる場合もありますから、一概には
言えないかもしれません)と思います。

>こじつけないといけないときには、あくまで住居内の財物に限定して、
>占有の相続承継も可能だと思います。
本問は、「一人暮らしであったA」というのが前提ですが、刑法上の「占有」は、相続
によって当然には移転せず、「相続人が当該財物を事実上支配しているかを個別的に検
討」とするのが通常です。ここにいう「占有」の概念は、財産罪において犯罪の個別化
をする機能を果たしますから、過度の観念化は構成要件の弛緩を招きます。相続による
承継を認める立場は、ほぼ無いといってよいと思います。

ここで、「ほぼ」と言ったのは、戦前のこんな議論です。財物奪取の意思で殺害した場
合(死者の占有の第1類型)において、強盗殺人罪(240条後段)を認めるのが一般で
すが、ここで、大審院の時代に「死亡と同時に占有が相続人に移転する」と説明した人
がいました。しかし、これは民法上の占有概念に拘泥し、刑法上の占有が財物に対する
事実上の支配である点を看過すると批判されました。この見解をとる判例、学説は現在、
皆無です。既に克服された議論かと思います。


155 :131:04/03/20 00:18 ID:???
みなさんの暖かい反応に感謝しつつ。

>>146のようなケースまでくると、さすがに不当に思えますね。
ただ、刑法における占有は、ご存知の通り、民法におけるより現実的なものです。
それを貫くと、>>152
>所有権者が変わったら、あるいは現場の社員が変わったら、あるいはビルの管理人が変わったらどうなりましょう?
まず、所有権者が変わっても現実的支配には影響しないことになり、
これに対して、社員が変わった場合、現実的支配(法律的支配は度外視)の観点からみると、
新旧社員の入れ替わりの間にはペンディングな状態が生じているのではないかと思います。
この間は、あえて刑法で財産としての占有を保護する必要はないのではないでしょうか。
可罰的な財産としての占有は、人の現実的な支配が及んでいるからこそ可罰的とされるのであって、
その意味では、いかに当罰性が高いにせよ、前述の老人宅の事例についても同様なのではないかと考えます。
こう考えると、現実の相続による相続人の支配が及ぶまでの間はやはり
(相続人のもとにおいても)占有は否定されるのもやむを得ないことになります。

ただ、死者の占有では殺害者との関係で、規範的には相対性な占有を認めるのが通常ですし、
占有の相対性を認めるということ自体はやはり法益保護にとって必要なことだと思います。
としても、老人宅事例での隣人は、殺害者と同様に、規範的に罰すべき程度の悪人なのでしょうか?
狙っていることと着手することは別ですし、もとより占有がなくなった時点での犯罪を企図していたわけですから。
…けしからん奴ですね。以上、原則論に終止した場合の不当性の確認ぽくもありますが。

156 :河童:04/03/20 00:49 ID:???
どうも論理的には私にはまったくもって抵抗しようがないですね。(いつもながら)
もっとも、私は純論理的に抵抗しようとは思いませんので、問題文を読んであまりに当罰性の高い行為は、
やはり死者の占有を保護するなり、相続人や建物管理人の占有を保護するなりすることにします。

例えば、最高裁が老人宅事例で占有離脱物横領罪のみにするとは到底思えませんしね。

また、老人宅に3日に1度は息子夫婦が介護等にきていた場合には、息子夫婦に保護すべき占有があるか、
なんて更に微妙な事案も考えられなくはないような気もしますし、もう少し考えてみます。

実によく刑法の「占有」概念について理解を深めさせていただきました。
財産罪は狙われやすいところ、131さんの問題提示とそれに続く一連の議論ほんとうに有益でした。
ご丁寧なレス、どうもありがとうございました。

157 :30:04/03/20 01:00 ID:???
>>153
引用の百選IIp.55の当該記述の部分は、一定の範囲で「死者の占有」を認める立場だと思います。
おっしゃるように、この見解でも、死者の住居内の財物については、刑法的保護に値することに
なります。

では、なぜ、このような説明をするのかを考えると、相続人に占有の承継を認めないからだとは
考えられませんか?
相続人への占有の承継を認めれば、死者の占有の論点は、ほぼ吹っ飛びます。これはこれですっ
きりしますが、犯罪の個別化という点で、「深刻な」影響を及ぼします。つまり、この「占有」
の概念(占有の有無、限界)の機能は、遺失物等横領との区別を果たす点にありますが、相続人
に占有の承継を認めるのであれば、占有は非常に観念化したものとなり(相続人への承継を認め
るのであれば、財物に対する事実的支配や占有の意思が「極度に」弱いものを認めてしまうこと
になる)、この推論からすると、遺失物等横領の成立場面が極度に限縮されてしまうのではない
でしょうか。ここでは民法と異なる要請、つまり明確性の要請や刑法の謙抑性とかの要請が働く
のでしょう。

ちなみに、一般に全体的考察説というのは、百選の当該部分にも記述がありますが、ご存知のよ
うに、「被害者の『生前』有した占有が、被害者を死亡させた『犯人との関係』では、被害者の
死亡と時間的、場所的に近接した範囲内にある限り、なお、刑法的保護に値する」とするもので
す。一応、生前の占有の刑法的保護であり、犯人との間の相対的な関係で保護に値するとするも
のにすぎないんですよ。これは占有の範囲を拡大するとともに、占有の相対化を図ったものだと
いえると思います。批判の強い見解ではありますが。なお、この点からすると、当該評釈者の引
用は省略しすぎており、非常にまずいです。ではまた。

158 :河童:04/03/20 01:34 ID:???
>>157
おお! 30さん、どうもありがとうございます。
ちょうどいま風呂に入りながら、まったく同じことについて考えていたのです。
(風呂が一番考えがまとまります)

結局、一定の場合に死者の占有を認めるとした上で、「住居内の財物か」・「相続人の有無」も、
その判断にあたって重要な要素になると考えることにしました。

原則として死者の占有を否定しながら、領得行為をなす相手により相対的に死者の占有を保護する、
というのが受験生の通説ともいえますよね。
学者さんの間では批判が強いのでしょうが、妥当な結論を導くためには仕方ない、と。

私も基本的にこの考え方に乗っかった上で、
「一般人の立場からみて財物が外形上他人の支配を排除する状態にある場合には窃盗罪が成立する」(野村稔)
に近い見解をとり、「住居内の財物か」・「相続人の有無」・「死亡後の経過期間」等の基準を重視します。
であれば、殺人罪の犯人のみならず、単なる窃盗者相手にも死者の住居内の財物は保護に値することになるかと。
相対化対象の拡大で、やはり「明確性の要請や刑法の謙抑性」には反しますが、先刻の私の見解よりはマシです。

つまり、野ざらしの死体が装着する財物であれば、相続人がいても死者の占有は刑法上の保護に値しない。
しかし、住宅内の財物であれば、死者の財物であってもなお刑法的保護に値する(相続人いればなおさら)
という感じになりますね。また明日考えてみます。

159 :河童:04/03/20 01:43 ID:???
「相続人の有無」という要素を死者の占有を保護するかどうかの要素に飲み込んでしまう。
「住居内の財物かどうか」という要素や「死者の死亡時期と領得行為との時間的ギャップ」も同じ。
妥当な結論を導くために、気になる要素はなにか上位概念に全部飲み込んでしまった上で、
あてはめから逆算した規範を定立するというのは大事な武器ですよね。

繰り返しますが、私の理論もだいぶマシになりました。感謝。

160 :氏名黙秘:04/03/20 02:20 ID:???
良スレ

161 :30:04/03/21 10:48 ID:???
以上の問題と比較して検討するべきものとして、現住建造物等放火罪における「人」の概念が
あります。「人」は犯人以外の者をいいますが、この点に関連して次の問題があります。

たとえば、「居住者全員を殺害した後に放火する行為は本罪ではなく、109条にあたる」とす
るのが大判大6.4.13です。西田p.286。
ただ、この点については、かねてより団藤先生が異論を唱えておられ、108条だとされていま
す。「人の住居に使用されている状態は、…人の死亡によってすぐに変更を受けるものではな
い」ということです。団藤p.197。この部分は、叙上の議論と繋がるように思われます。
なお、この点で、不能犯における具体的危険説からは、この立場を支持する余地があると思わ
れます。これは、シケタイにも書いてありますけど。

でもって、前述の判例の立場からすると、「たまたま外出者がいても、居住者全員を殺害した
と誤信して放火した場合には、38条2項により、…109条が成立する」ことになるとされてい
ます。西田p.286。

まとめて整理した方が、便利かなと思いましたので、ちょっとだけ書いてみました。ではまた。

162 :裕子:04/03/21 15:54 ID:???
>>151
時機に遅れてすみません。
> このうちで、「嘱託・承諾の存在の認識」というのを違法性を打ち消す認識だと捉えることができる
> と考えられないか、と。そうして、打ち消す認識が十分とはいえないのであれば、故意の違法性の意
> 識の喚起機能(提訴機能)により、殺人罪としての事実の認識があると考えられると思ったわけです。
よくわかんないですけど、まあ、仮にこう考えたとしても本問では厳しいでしょうか。
「打ち消す認識が十分とはいえない」かどうかわかんないですしね・・・

> >>140中段
> すごく悩みましたよw。法律の錯誤なのでしょうが、裕子さんは、あてはめの錯誤と捉えるのですか、
> それとも、違法性阻却事由の錯誤のうちの、違法性阻却事由の要件や限界の解釈を誤った場合と考え
> ているのでしょうか?
法律の錯誤というと普通は責任ありかなしか、の話なんで、
ここでの、殺人か同意殺かという話にスライドさせようとするとなんかややこしいですね。
極端な厳格故意説を想定して、同意殺の違法性の意識まではあるが殺人まではない、
という事例を想定したつもりなんですが。
まあ、通常の立場からすると、結論は殺人であきらかなんで、
分類してもあまり意味ないでしょうが、強いていえば、
行為者が法律を知ってたなら、あてはめの錯誤と考えることもできるんではないですかね。

163 :裕子:04/03/21 16:46 ID:???
>>137
>  イ しかし、被害者を死に至らしめた者との関係では、法益保護の観点から、死者が生前に有した占有がなお
>   規範的に残存していると解すべき場合がある。
「残存している」と表現していいんでしょうか。こういうと前田説っぽい印象なんですが。
「規範的に保護されると解すべき」くらいが無難な気がしますが、どうでしょう。まあ、いっしょかな・・・

>  エ また、甲は自己が「窃取」をなし得る者であるという事実につき認識ある以上、窃盗罪の故意(38条1項)
>   に欠けるところもない。
「なし得る者であるという事実につき認識」これは不要でしょう。身分犯でもないですし。
「窃取」の認識でいいと思います。まあ、当然あるので書かなくていいでしょうが。
ここで「とっても窃盗にはならないだろう」と思っていたのなら、法律の錯誤が問題になるんですよね。
(もちろん責任阻却されませんが)
問題文にそんなことかかれてない以上、スルーしていいんではないでしょうか。

164 :裕子:04/03/21 16:49 ID:???
>>138
>    この点、占有と住居権とは内容を異にする概念ではあるものの、死者にとって事実上観念し得ない概念である
>   という点においては共通するものと考える。
>    そこで、住居権が住居という、占有に比して通常移転を観念しにくいものに対する権利であるという特性を
>   加味し、前述の規範@Aに加え、B殺害者と被害者との関係、C住居の態様等を総合考慮し、社会通念上
>   被害者の生前の支配がなお継続されていると評価される限りにおいて、生前の住居権が保護に値すると解する。
ここちょっと思考の流れがわからないです。
前述の規範@Aは死者の生前の占有が保護される要件ですよね。
で、ここはさらに要件を加えている、すなわち死者の生前の住居権が保護される要件が
よりきつくなりそうなんですが、結論は逆ですよね。
あと、「住居権が住居という、占有に比して通常移転を観念しにくいもの」ここの意味がよくとれないこともあります。
占有→動産ですかね。それとも占有→占有権でしょうか。
おそらく、住居権のほうをより広く保護しようという趣旨なのでしょうが、それがもう一つ伝わってきませんでした。
また、この価値判断はどうなんでしょうか。こんなんなし、とは言い切れないんですけども、
住居権と、占有と、どっちが死後にも保護されるべきか、なんて比べようがない気がするんですが…
住居の中にあるものと、外のものの占有の比較ならわかるんですけれども。

あんまりここにこだわっても仕方ない気がするんですけども、こういう学説でもあるんでしょうか。
>>135でご指摘のように、単純に、住居侵入罪の保護法益論から結論の分かれ目の理解をみせる、
という形で十分だと思うんですが…

>    したがって、甲がこれらの事実を認識している以上、A女宅への住居侵入の故意に欠けるところはない。
後で具体的事実の錯誤を論じる以上、この結論を出すのは早いですね。
「死んだA女宅への侵入であるからといって、直ちに故意が否定されるわけではない」くらいですかね。

165 :氏名黙秘:04/03/21 17:52 ID:???
読みにくいな

166 :河童:04/03/21 17:58 ID:???
>>164
>前述の規範@Aは死者の生前の占有が保護される要件ですよね。
>で、ここはさらに要件を加えている、すなわち死者の生前の住居権が保護される要件が
>よりきつくなりそうなんですが、結論は逆ですよね。
これは、死者を法益帰属主体とするために、窃盗罪の場合はダメでも、
住居侵入罪の場合には「有利に考慮できる要件」を加えているわけで、
手法としてはアリだと思います。

>おそらく、住居権のほうをより広く保護しようという趣旨なのでしょうが、それがもう一つ伝わってきませんでした。
>また、この価値判断はどうなんでしょうか。こんなんなし、とは言い切れないんですけども、
>住居権と、占有と、どっちが死後にも保護されるべきか、なんて比べようがない気がするんですが…
そこで、この問題になるわけですが、確かにこれは考えれば考えるほど微妙ですね。

例えば、東京の資産家が、北海道の辺境に別荘を建てて、
家財道具一式も同じ職人に一緒に作らせてその別荘に備えつけた。
(もちろん、鍵がついており、戸締りは万全だった)
その資産家が管理人も置かず、実際にその別荘を見ることもないうちに、
ドロボウがその別荘に侵入して家財道具一式を盗んでいった。

この問題は生者の占有と住居権の侵害が問題となっていますが、
住居侵入罪と窃盗罪の成否はどうでしょう?
住居権のほうを広く保護しようという価値判断はなんとなくわかる気がします。
(私は両方とも成立です、念のため)
ただ、これが死者にも妥当するかというと、また違う問題のような気もします。

167 :裕子:04/03/21 18:31 ID:???
>>166
> これは、死者を法益帰属主体とするために、
ちょっと問題がずれるんですけども、
131さんの論じ方は、「死者を法益帰属主体」にする考え方ではないですね。
死者は法益帰属主体にならない(少なくとも窃盗は)ことを前提に、
「生前の」占有を侵害したと評価できないか、という考え方だと思います。
この点、河童さんはどのように考えてるのかが明確ではないですね。

168 :河童:04/03/21 19:13 ID:???
>>167
>死者は法益帰属主体にならない(少なくとも窃盗は)ことを前提に、
>「生前の」占有を侵害したと評価できないか、という考え方だと思います。
あっ! なるほど。そのご指摘をいただいて私の理解の浅さがようやくわかりました。
ほんとに理解の深い方にご指摘いただくと大変勉強になります。ありがとうございます。
いやー、どう考えるべきなのか、また全然わからなくなってしまいました。

てっきり死者を法益帰属主体として認めてよいのかと思っていたために、
「相続人の有無うんぬん」ということまでファクターのひとつとして考えたのですが。
「生前の占有を侵害したと評価する」、そういえば択一の問題で散々みてきた文章なのに……情けない。

もはや人でなくなった死者を法益帰属主体とすることは、やはり抵抗がありますよね。
そういう学説もあるとは思いますが、もう少し考えてみます。
いつも理解が深まったと思うたびに再び突き落とされる…法律(司法試験?)はおそろしいですね。

169 :131:04/03/21 20:54 ID:???
こんばんは。いろいろと有益なご指摘、ありがとうございます。
>>163
>「残存している」と表現していいんでしょうか。
うーん、たしかに誤解を招きかねない表現でしょうか。死亡によって消滅したはずの生前の占有を、
事実的には侵害できないはずの「行為時に」規範的には侵害できることをいいたかったのですが。

>「なし得る者であるという事実につき認識」これは不要でしょう。身分犯でもないですし。
なるほど。ここはこんがらがって書いていたので、よく分からなかったのです。参考になります。

>ここで「とっても窃盗にはならないだろう」と思っていたのなら、法律の錯誤が問題になるんですよね。(もちろん責任阻却されませんが)
>問題文にそんなことかかれてない以上、スルーしていいんではないでしょうか。
おっしゃる通りです。書いた後で気付きました。(>>136

>>164
>占有→動産ですかね。それとも占有→占有権でしょうか。
動産の趣旨です。ここも表現がまずいですね。答練中にでっちあげたもので…。
要件BCは絞りではなく、むしろ処罰拡大方向の要素です。総合考慮を用いることで相当甘くしています。(>>166ご指摘の通りです。)

>住居権と、占有と、どっちが死後にも保護されるべきか、なんて比べようがない気がするんですが…
窃盗罪の既遂時期で取得説にたった場合、考慮要素として財物の大小・軽重などを考えますが、
単純に不動産としての家=でかい、だから動産よりも処罰拡大すべき、という考えに至った次第です。
ただ、この考えは住居権を保護法益とする考えと矛盾しかねないですね。とすると、
>単純に、住居侵入罪の保護法益論から結論の分かれ目の理解をみせる、という形で十分だと思うんですが…
このやり方の方がベターですね。保護法益への根本理解を示せますし。

>後で具体的事実の錯誤を論じる以上、この結論を出すのは早いですね。
「A」への故意はあるが、「B」への故意はあるか?ということの前提として、この時点で確定しておくべきだと思うのですが。

170 :裕子:04/03/22 00:08 ID:???
>>169
> >後で具体的事実の錯誤を論じる以上、この結論を出すのは早いですね。
> 「A」への故意はあるが、「B」への故意はあるか?ということの前提として、この時点で確定しておくべきだと思うのですが。
まあ、ちょっとした表現のもんだいですかね。
問題提起との関係から、ここで故意ありか?と思ってしまうんですよ。

例えば、故意の検討のところは、こんな流れはどうでしょうか。
死人A宅への侵入を「侵入」の認識といえるか問題となる。と問題提起して、
結論として、よって「侵入」の認識といえる。
そうだとしても、「A」宅に侵入した認識した点につき客観的に生じた事実「B」とズレある。
故意と評価してよいか→具体的事実の錯誤

あと、いま気づいたんですが、
「構成要件的故意が阻却」っていう表現はおかしくないですかね。
構成要件的故意は阻却されるものではなく、存在するか認定していくもんだと思います。
構成要件的故意が認められるのか、構成要件的故意と評価できるか、
とかいう表現になるのではないでしょうか。

171 :131:04/03/22 03:22 ID:???
>>170
>問題提起との関係から、ここで故意ありか?と思ってしまうんですよ。
納得。流れというか、落ち着きが悪いですね。
そもそも一つの犯罪を成立させるための故意が、あたかも分断されるような書き方かもしれません。
本問ではBに対する犯罪成立を検討しているにすぎないのですから、これではまずいですね。
提示していただいた流れだと、あくまで「認識」の問題と「Bへの故意」の問題を
区別していることが分かりやすいです。

>構成要件的故意は阻却されるものではなく、存在するか認定していくもんだと思います。
言われてみれば、違法性阻却とか責任阻却は、あくまで構成要件該当性が認められることで
推定された違法性・責任が覆されるから「阻却」になるのですよね。
基礎中の基礎ですが、スポーンと抜けてました。ご指摘ありがとうございます。

172 :30:04/03/22 05:59 ID:???
>>170>>171
あの。「構成要件的故意が阻却される」という表現ですが、錯誤論においては、通常使われている表現だと
思います。大塚概説p.185以下(多すぎて全部挙げられない)。ただ、故意論においては、阻却ではなく、
「認められるとか、認められない」という表現になると思います。なお、Tbで事実的故意(これは犯罪事実
の認識+実現意思。責任説が前提)とされる大谷先生も事実の錯誤は故意阻却(責任故意を認めないから、
上述の意味での「故意」の阻却)です。大谷p.201。なお、抽象的事実の錯誤で、重なり合いが肯定される
場合には「故意が認められる」ということになります。

ちなみに、具体的符合説というのは、錯誤論をほぼ故意論として理解するものであり、これに対して、法定
的符合説は錯誤論と故意論とを峻別する立場であるというのが「大まかな」方向性だと思います(てな感じ
で習った。ちょっとトリビアですが、ローマ法の時代からあったのは具体的符合説で、法定的符合説という
のは近代の理論なのだそうです。なにせ奴隷が動産の時代には「人」の範囲で云々とは言えませんから)。

ところが、近時は、至る所で錯誤論を故意論として扱おうとする考えが強くなってきています。重なり合い
について、分析的に捉える立場、例えば、書研、前田など(ただ、山口先生が、この分析を主唱されていた
と思いますけど。とはいえ超法規的構成要件云々は…)は、まさに故意論だと思います。

このあたりの表現は、正直言って再現でも無茶苦茶というところでしょうか。こだわるわたくしは古い人間
ですから。なお、本問は、>>170の裕子さんの流れでよいと思いますよ。あと、裕子さんは責任説のはずで
すから(法律の錯誤が責任阻却なので)、構成要件的故意とは言わない方がいいと思いますよ。131さんの
立場に立って、書いているのだと思いますけど。ではまた。

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